第9章 純黒の悪夢
キュラソーは厳重な警備の下で面会謝絶なのにどうやって接触するのかとベルモットは問う
「それともあなたなら簡単に会えるのかしら?たとえば警察に特別なコネクションでも…?」
ベルモットの話から、やはり零がNOCだと言う情報は組織に流れているのだろうと思った
でもどうして確信を突いてこない?
NOCだという情報が入ったのであればこんな回りくどい聞き方をしなくてもすぐにアクションを起こすはず…
零を試しているのか…?
「立ち話もなんだし、場所を変えましょう」
「それが組織の命令だというなら仕方ありませんね…」
……!!
ベルモットの提案を素直に飲んだ零…ここで抵抗すれば自分がNOCだと認めていることになってしまうからだろうけど、でもダメだ!
引き止めるなら今…
以前杯戸病院で会っているベルモットはオレの顔を覚えているだろうし…また偶然会った様に振舞って、わがまま言って自宅まで送ってもらうふりをする?
いや、もっと何か良い方法を考えろ…なんとかして零をベルモットから離さないと…!
ヴーヴー…
零の方へ飛び出すか否か迷いながらも片足を踏み出した瞬間に、スマホが振動し足を止められる
声を出さずに電話に出ると『今すぐ戻れ』と一言だけ言われ通話が切れた
声の主は赤井
戻れって言われても…零が…
待って欲しいという願いも虚しく零は再び車へと乗り込む
助手席にはベルモットが乗り、ナビに目的地を入力している様だった
目の前に危険が迫っている零がいるのに何も出来ない…
今すぐ車の前へと飛び出して止めに入りたい気持ちを抑え、赤井が待っている路地へと向かって走り出した
ごめん零、必ず助けるからっ…!
運良く横断歩道は青で、マスタングまで止まらずに着く
息を切らしながら乗り込むと、赤井はすぐさまギアを入れアクセルを踏み始めた
RX7が病院から出てきたのを見て追跡を開始する
「盗聴器を外さなくて正解だったぞ」
「はぁ…っ…ごめんっ…」
ベルモットと零の会話は東都水族館の時から付けたままの小型盗聴器から聞こえていたと言う
俺が止めなければ2人に接触しようとしていただろうと赤井に図星を突かれ、反省をした
あの場でオレが出ていったら零が危なくなるのは考えれば分かったのに、止めに出ることしか頭になかったのは事実
「何があってもチャンスが来るまで耐えるんだ」
「うん…」