第9章 純黒の悪夢
まぁコナンのことだからデータを見られても安易に口に出すことはしないだろう
探偵にしておくには惜しいし、もし元の姿に戻ることになった時には警察官にならないかと勧めたいくらい正義感が強いもんな…
コナンのことを思っているとスマホが鳴り、早速コナンからの連絡が入る
『まだ博士の家には着かねぇけど、博士に連絡してデータの修復は頼んだ』
完全に修復できるとは限らないそうだが、それは承知して頼んでいるから問題ない
『それと例の工作員、実は観覧車で発作を起こしたんだ』
「観覧車で?」
『あぁ…ちょうど光彦達が近くにいて、「スタウト、アクアビット、リースリング」って彼女が言っていたみたいなんだけどよ…』
……!!
『これって酒の名前だよな?』
暗殺された3人の名前を言っていたということは、やっぱりキュラソーはNOCリストを確認している
データを盗むだけでなく頭に入れてると言うことは、もしかしたらバーボンやキールも…
それに発作が起きたということは記憶がいつ戻ってもおかしくない状態でもある
これは早めに対処しないとヤバい…
『安室さんもポアロを急に休んだみてぇだし、もしかして公安が彼女を追ってる理由って…』
「ごめんちょっと立て込んでて!修復済んで何かわかったらまた連絡して!」
『あ、おぃ!ちょっ…』
思わず通話を切ってしまった
コナンは勘づいてしまったかもしれない…
「ボウヤは何だって?」
「キュラソーが発作を起こした時に、暗殺された3人の名前を口にしてたって」
「キュラソーはデータを盗んだのではなく、記憶しているのかもしれないな」
「そしたらキュラソーが組織に奪還された時点でアウトってことだよね…」
今は警察が身柄を拘束しているから安心だけど、キュラソー自身が記憶媒体なのであれば、組織は奪還をしに何か仕掛けてくるに違いない
キールが夕方に召集を掛けられているということは、動き出すのは夕方以降の可能性が高い
それまでになんとかキュラソーを安全な場所に移さないと…
「しばらくはキュラソーの動向を見るとしよう」
キュラソーの近くにいれば組織の動きもわかるかもしれないと赤井は言う
組織が警察病院に仕掛けるというのは考えにくいが、キールが入院していた時も病院に仕掛けてきたから有り得なくもない
まずは無事公安に身柄が引き渡されることを祈った