第9章 純黒の悪夢
「あんまり時間がないんだ。最新の保存されたデータ、メールの送信履歴、…これがわかればすごく助かる」
「わかった。急いで博士に頼んでみるよ」
「今日はアイツと一緒じゃねぇのか?」
自販機に行っていた毛利先生が缶コーヒーを4本抱えて帰ってきた
アイツと言うのは零のことだろうな…
「今日は別の人と来てて…」
そう言うと持っていた缶コーヒーを1本コナンに手渡し、もう2本は「ほらよ」とオレに差し出される
一緒に来た奴と飲めと言ってくれて、渡すなりすぐに振り返り待たせてあったタクシーの方へと歩き出す
「安室さんは別なんだね」
「う、うん…組織の方で動いてるんだ…」
零の命が危ないかもだなんてコナンには言えない…
とにかく今は一刻も早くデータ修復をお願いしなくっちゃ
「博士によろしくな!それと、毛利先生ごちそうさま!」
タクシーの前まで行ってしまった毛利先生に大声でお礼を言うと、毛利先生は片手を上げて乗り込んで行った
「あ!小五郎のおじさん待ってぇー!」
後を追って行くコナンも片手で挨拶をしながら走り出した
オレも急いで行かないと…
赤井の車が停まっているであろう駐車場まで走りながら風見にキュラソーが警察病院に搬送されたのを伝えた
身柄引き渡しの手続きの為の書類も準備が整い、風見もこれから警察病院へ向かうそうだ
零からオレは研究室にいるのかと聞かれたみたいだけど上手く誤魔化してくれたようで、零自信も安心していたんじゃないかと風見は言う
ついでに直接連絡し合わないのかとこぼされたが、間に挟んでごめんねとしか返せなかった
だって、お互いに声を聞いたら覚悟した気持ちがブレてしまうだなんて、風見には言えない
風見の事だからきっとオレ達を心配してキュラソーどころじゃなくなってしまいそうだもんな
「赤井お待たせ!すぐ警察病院に!」
「あぁ、話は全て把握した」
マスタングに乗り込むとすぐに警察病院へと発車する
先程もらった缶コーヒーを座席の間にあるドリンクホルダーに置くと、毛利探偵も粋な男だと赤井が口角を上げた
「キュラソーのスマホ、修復できるといいんだけど…」
「ボウヤも公安が動く程のデータを見てみたいんだろう、何がなんでも修復させるさ」
あ…修復したらデータを見られてしまうことなんて考えてなかった…
「見られても平気かな…?」
「ボウヤだからな」