第9章 純黒の悪夢
赤井の車に向かいながら風見と連絡を取ると、やはりオレを迎えに来て研究室まで送るようにと零に言われたようだった
「ごめん、オレはオレで動くことにしたから、迎えは大丈夫」
『何言ってるんですか!?あなたが組織と接触するのを降谷さんは避け「風見ごめん、わかって」……何か策があるんですね?』
「うん。でも零には内緒にして。心配しちゃうから、何か聞かれても研究室で身を潜めてるって上手く言って欲しい。もちろんバレたらオレのせいにしていいから」
話しながら赤井の車に辿り着くと、赤井は何も言わずオレから荷物を取り、トランクにしまってくれる
身振りでありがとうを言いながら口では風見を説得すると、渋々ながらも受け入れてくれた様子が返ってくる
『自分はリュウさんの安全を確保できたら任務に集中しろと言われています。リュウさんが安全であれば構わないんです』
「それって研究室じゃなくても安全であればいいって言ってる?」
『さぁ、どうでしょう…』
確信犯な風見に口元が上がった
『個人的にも降谷さんをなんとか守りたいんです。ですが自分は立場上自由には動けません。公安のことは自分がなんとかしますので、リュウさんは降谷さんのことをお願いします。それと、どうか無茶だけはしないでください…』
「うん…風見も無茶しないでね」
相手は組織だ
どう仕掛けてくるかはわからない…一刻も早く奴らより先に工作員を捜し出さなきゃ…
また連絡をすると言ってスマホをしまい、ハロを抱かえてマスタングの助手席に乗り込んだ
「まさか犬もいたとはな…」
オレが乗り込むと横目にハロを見ながら車を出す
ハロはというと初めて見る赤井に威嚇をしていて、なんとかなだめるも、赤井への警戒心が半端ない
運転をする赤井に助手席のオレの膝の上から睨みをきかせている
「降谷君にそっくりだな…」
「なんかごめん…」
飼い主に似るとはこういうことなのだろうか…こんなところは似なくていいんだけどな…
「それで、これからどうするの?」
「一先ず工藤邸へ行こう…君の力を借りながら策を講じたい」
「オレの?」
「あぁ。キールやジェイムズ、君やバーボンからの情報を集めてから動いても遅くはないはずだ」
赤井との任務は組織以来で、久しぶりの感覚に気持ちが高ぶった