第9章 純黒の悪夢

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とは言ったものの、潜伏した工作員の割り出しや行動制限、サーバのセキュリティ強化など、自分も対応して逮捕まで追い詰めてやりたかったのが正直なところだった
そもそも工作員を警視庁内に侵入させてしまった落ち度は職員全員にある…なんとしてでも機密情報を守らなければ、今後の信頼へと関わってしまうだろう
…なんて仕事できる人みたいなこと言ってるけど、本当はNOCリストを…零の存在を守ることができればオレはそれでいい
そう思っていたのに、自宅待機となれば何も手出しはできない
自宅からハッキングでもして仕事の続きでもやろうかと思ったけど、それこそ零にとばっちりが行ってしまうかもしれないので大人しくするしかないのが現状…


自宅待機すること既に2日目の夜だが、今日はなんだか心がザワザワしている気がした
工作員がいつ動き出すかわからないからと零はあれからずっと本庁に付きっきりで帰ってきていない
組織の仕事で行方知れずではない分マシだが、今回も組織が絡んでいるから気が気ではなく、特に夜は何かあるんじゃないかと眠りにつけなくなった
組織の工作員だってそんなに長く潜伏するとは思えないし、こっち側だって、経験からそろそろ動き出す頃じゃないかって思ってるんだよな…
零…大丈夫かな…


━━ピロンッ♪


スマホ画面に緊急ニュースのポップが表示される

『首都高湾岸線にて大型トレーラー等を含む数台が巻き込まれる大規模事故、及び大規模火災発生』

湾岸線…確か工事中なはずで、この時間帯は渋滞しているだろうな…
渋滞の列に突っ込んだか？
車が並ぶ場所での火災はヤバいな…

そう思いながらネットニュースで映像を確認する
さすが都心部とだけあって映像入手が早い…燃え上がっている場所は、高架下の倉庫だろうか？
首都高の事故車が落ちたか…？
映像を見ただけでもちょっとこれは酷い…ただの事故ではなさそうだ
交通課だけでなく各署動かざるを得ないだろうし、オレも自宅待機が解除されたら、検証とか分析とか、回ってきそうだな…


……ん？


いや、気のせいだと思いたい
映像は遠目だが、零と同じRX7が一瞬映った気がした

…いやいやいや、同じ車に乗ってる人なんてそこらにいるんだから……いや、あの車種はそんな頻繁には見掛けないか…

嫌な予感しかしないけど、どうかこのまま何事もありませんように…