第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
「もちろんさ…」
その為にオレができること、もっと考えなきゃ…
味方も増えたんだ、零が動けない部分はオレが動いて、全力でカバーしなくっちゃ…
「叶音…」
「ん?」
あっという間に自宅の駐車場に着き、車を停めるのと同時に名前を呼ばれ右を向く
そのまま片手で肩を寄せられると、反対の手で顎を固定され柔らかな唇が軽く重なり、すぐに離れる
「…報告、終わりかな?」
「大体は…」
じゃあ、と言って再びキスしようとするのを手で口を塞いで止めた
「ここじゃなくて…おうちでしよ…?」
自分で言っておいてなんだけど、顔が熱くなってきたのがわかるくらい恥ずかしくなった
でもここじゃなくて、家での方が良いのは本当…
「それはゆっくりじっくり味合わせてもらえるってことかな?」
「もー!そういうこと言わなくていいからっ!」
図星を突かれ恥ずかしい自分と期待しちゃう自分がいて、きっと酷い顔をしているだろうに、零は可愛いなぁと言いながらエンジンを止める
そして車を降りようとする零の後を追う様に自分も車を降りた
玄関までの短い道のりしかないのに手を差し出され、二人並んで手を繋ぎ歩き出す
この時はまだ、こうやっていつまでも手を繋いで歩けると思っていたんだ
それぞれの嘘の裏側が明るみになり希望の光に変わったというのに、それを追うかのように純黒の闇は深く、オレ達のすぐ後ろまで迫ってきていた…
━8章END━
れぇ…いかないで…
僕の最後の願い…聞いてくれ…