第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
そしてこうなった後は必ず零からの消毒が待っていて、わしゃわしゃと強めに撫でられ、髪はくしゃくしゃになる
「もぉー!消毒しなくて大丈夫だってぇ!」
「本当は触らせたくないんだ!」
我慢したんだと言う零はどこか拗ねている感じで、周りに風見しかいないからって部署内でこんな姿を見せることに驚いた
「零、よしよーし…」
まるで子ども扱いするように、オレの肩に顔を埋める零の頭を撫でてやる
今回の件で零は休みなくずっと動いていて、やっと赤井の生存も確認できた
ちょっと気持ちが弱るのもわからなくもないな…
「リュウの報告聞いたら甘えたい…」
「ん、良いよ…今まで頑張ったんだから、少しゆっくりしよ…」
研究室でじっくり報告しようと思ったけど、帰り道の車で良いかな…
珍しく零の方がこんな感じだし、早く帰って今度はオレがうんと甘やかしてあげよ!
「風見、オレ達適当に帰るから、先に上がって?」
「わかりました…気を付けて帰ってくださいね」
「うん!お疲れ様!」
風見が部署を出て行って少ししてからオレ達も元来た道を通り零の車に乗り込む
車の中ではまず赤井が沖矢さんと同一人物だということは間違いなかったとを報告をした
もちろん赤井が沖矢昴でいることを理解して欲しいと思っていて、邪魔をするならFBIも然るべき対応を取るってことも伝えた
「人質取られたみたいでごめんね…今後の動きでもしオレの存在が邪魔だったら…」
「それは言って欲しくないって、わかるな?」
「……うん…ありがと…」
そして組織の新情報が流れてきたことを報告する
ひとつはラムのこと
これは零も知っていた様で、今日のこの件が終わったらオレに言おうとしていたようだ
「ラムってボスの側近なんでしょ?」
「あぁ。会ったことはないが、No.2が動くとなると今までい以上に警戒しないといけないな…」
「それで、その大物が動く前にね…」
NOCを一掃する為にNOCリストを狙い始めたんじゃないかって赤井が言っていたことを伝えると、考えているのか零からの言葉が返ってこなくなる
「……」
「零…?」
「…やはりウチの組織だったのか…」
マズいなって顔をしながら運転をする零
考えたくないけど、零も最悪な状況まで想像したに違いない
「なんとしてでも護ろうね、NOCリスト」