第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
一体どういうことかと状況を飲み込もうとする部下や、意味がわからず頭上にハテナを浮かべて固まる部下…
オレ達的には「えぇー!」と叫ぶなりズテーっとコケるなりを想像していたんだけど、欲しかった反応がなかなか返って来なかった
「ノリが悪いな」
「ね~」
零がため息混じりにそう言いながらオレを下ろすと、風見が眼鏡をクイッと上げながら質問を投げてくる
「あの、降谷さん…リュウさんは今までのまま、変わらずここにいられるという事ですよね…?」
「あぁ」
それを聞いた部下達はキョトンとお互い目を合わせ、オレを見て、またお互いを見て、突然叫び出すのだった
「っしゃー!!」
「良かったぁー!」
「めちゃめちゃ心配してたんですよ!!」
「俺、天使がFBIに行っちゃうのかと思って…グズッ」
気付けば部下達に囲まれており、オレの周りには刑事の壁が出来ていた
頭を撫でられたり握手を求められたり、今度はオレの方が状況に着いて行けず、ドッキリを仕掛けたつもりが逆にドッキリに合っているような感じになる
「あの、みんな、落ち着いて、ね?」
「リュウさんが来葉峠で赤井捜査官に連れて行かれてからみんな、あなたがFBIに行ってしまうのではないかって心配していたんですよ…それも自分達がFBIを拘束できなかったが為にって…」
そうだったんだ…
「心配掛けてごめんなさい。拘束できなかったのはみんなのせいじゃないし、今回は赤井に接触できただけでも一歩前進!それにオレも戻って来これたし、結果オーライかな!ね、零さん…?」
そう振り向くと、あきらかに納得していないような顔とオーラでそっぽを向いている零がいる
やっぱり沖矢さんの秘密を暴いて、そのまま赤井を捕まえたかったのかな…なんて思っていると、風見がコソコソと耳打ちをしてくれる
「赤井を捕まえられなかったのとリュウさんを連れて行かれたので相当ダメージ受けたみたいです…」
あー…こりや早くもらった情報伝えてあげないとダメだな…
「零さん、オレちゃんと戻ってきたよ?」
ぎゅっと腰に抱きついて今日はもう帰ろうと提案すると、また抱き上げられる
「そうだな…今日はもう解散しよう」
零のその言葉に風見は部下へ解散の指示を出し、部下達は次々と零に抱き上げられているオレの頭を撫でながら挨拶をし、それぞれ退勤して行った