第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
「詳しいことはあんまり言えないんだけど…」
「心配するな。キールから聞いたという事にするし、今の段階では俺とジェイムズで情報は留める」
情報漏洩にならないかと心配はあるが、この先も何か情報をもらうには言える範囲で言っておいた方がいいかもしれない
それに仲間にまで偽装死を貫き続けてきた赤井なら信用できなくもない…
「少し前にNOCリストを狙ったサイバー攻撃があって専門チームが対策してる。オレも経路を分析中なんだ」
「ネット経由ではリストに辿り着けなかったという訳か」
もちろんそんなヤワなセキュリティじゃない
簡単に破られて情報が外に出てしまったら、それこそ国中、もしくは世界中がパニックになってしまう
「ネット経由がダメで直接乗り込んでくるとかそういうのは有り得ると思う?」
「可能性はあるな」
「そもそも今になってNOCリストを狙う理由って?」
「俺やスコッチがNOCとバレ、ネズミが入って来ていると警戒しているんだろう。大物のラムが動き出す前に、一掃しておきたいんだろうな」
スコッチの名前を出されて言葉が出なくなった
もしあの時、赤井の様に死を偽装することができたなら…
「彼のことは悪かったと思っている」
「ううん…誰が悪いとかじゃない。そうなってしまったことは事実で変えられない。だからオレ達を守ってくれたスコッチの為にも早く組織を壊滅させなきゃ…」
公安ということや自分の痕跡を一切残さず自害したスコッチ…いや、オレの警察学校の同期で同じ公安所属のヒロ…
もし彼が生きていたら、オレ達もまた変わっていたんだろうな
「その為に俺達もNOCリストを守らないといけない。これからも情報交換をしてくれると助かる」
そう言ってスマホを差し出され、画面を見ると連絡先の番号やアドレスが表示されていた
受け取って自分のスマホに登録をし、赤井のスマホにもオレの連絡先を入れた
「これでよし、と」
「頼りにしてるぞ、小さな捜査官」
「そんな、頼りだなんて…」
全面的に協力はできないけど、赤井がキールと繋がっているならこちらも助かる…零の為にもより多く情報を得なければ…
ジンは零のことを信用出来ないままでいるみたいだし、零まで下りてこないキールにしか掴めない情報もあるかもしれない
その情報を回してもらえれば、組織の先回りをして動けるかもしれない
