第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
「どちらまで送ればいいですか?」
「うーん…警視庁の裏のバス停でもいい?」
渋々乗ってシートベルトをする
それなりに遅い時間だったから自宅まで送ってもらおうかと思ったけど、零はまだ本庁にいるみたいだし、あまり自宅を知られるのは嫌だなって思った
まぁFBIだから調べたらすぐにわかっちゃうんだろうけど…
それに零はオレが今赤井と一緒にいると思っている
なのに沖矢さんと一緒に現れては本当に沖矢さんが殴られてしまうかもしれないし、これでは赤井と沖矢さんが繋がりがあると思って…って、アレ…?
「オレに沖矢さんの正体を言ったら、零に伝わるってわかっててバラしたんだよね?」
「あぁ、さっきも言ったが、安室君はもう気付いてるかもしれんからな。言ってもらって構わんが、こちらの状況が悪くなるようなことをするなら然るべき対応をするだけだ」
話しにくいのか、FBIとして話すからか、変声機を切って赤井の声色に戻った
「然るべき対応…?」
「そうだな…君をFBIに戻すとか」
有り得なくない話を持ち出され背中がゾッとした
FBIにだなんてなったことはないが、FBIから公安に来ているということになっているんだ、いつFBIの方に戻れと言われてもおかしくはない…
これは脅しなのか、警告なのか…それにオレの存在が零の邪魔をしてしまうんじゃないかとか、もしそうなったら零と離れてしまうんじゃないかとか思うと、胸もキュっとなる
「そんな話をしたくて連れ出したんじゃないんだがな」
「あっ…そうだね、元のオレに話って?」
FBIにと言われ内心は複雑なままだが、肝心な話を聞かなくてはいけないと気持ちを落ち着かせた
「組織に動きがあったんだ」
「組織に?」
「安室君も既に知っているかもしれないが、組織のボスの側近が動き出すようだ」
FBIが組織へと戻したCIAの水無怜奈、キールから連絡が来たらしい
始めはアルファベット3文字で「RUM」とだけ、そしてしばらくたってから来たのが「NOCリスト」という単語のみだったと言う
「ラムが手始めにNOCリストを狙いに来るのではと予想しているんだが、NOCリストは君の所にあるだろう?何か変わったことはなかったか?」
NOCリストと聞いて思い当たる節しかなかった
あのサイバー攻撃はやっぱり奴らだったのか…!?
「…何か知っていそうだな」
