第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
「さすがに不意打ちは子どもの力でも効くな…」
前屈みにお腹を抑える沖矢さん顔の赤井に指を差しながら言ってやった
「本当なら刑法176条強制わいせつ罪で逮捕だからなっ!」
「だから昴さん何したのっ!?」
「ボウヤにはまだ早い話さ…」
そう言う声と顔は沖矢さんなのに口調は赤井で違和感がすごい、というかやっぱり…
「その声嫌…」
「元に戻せば問題ないか?」
ピッと変声機を切り、今度は沖矢さんの顔で赤井の声になる
でも声が戻れは良いという問題ではなかったらしい
思った以上にトラウマになってるのかな…
「その顔…嫌…」
「すまんが慣れてくれ」
「はあ!?」
あんなことをされて慣れろってある?
痴漢にあった被害者の女の子に慣れろと言う刑事なんていないでしょ!?
「もう一発殴ってもいい?」
「…遠慮しておく」
沖矢さんの顔なのに赤井の声で言われてるからかすごく調子が狂う
「もう!声戻して沖矢さんで喋るか顔戻して赤井でいて!」
「はい、沖矢昴に戻りましたよ」
変声機のスイッチを入れ沖矢昴に戻る
オレが指示しといて悪いんだけど、なんだか遊ばれているようでイライラが増す
というか、今までオレの正体をわかってて全部沖矢昴のフリをしていたってことだよね…!?
初めて会った時にシチューを分けてくれたのも、仮眠を取らせてくれた時のあの会話も、抱きしめられたのも、盗聴器を取ってくれたのも、車内のあれも、全部…全部…赤井だったなんて…
「今まで何度も会ってたのに、なんで教えてくれなかったんだよ!赤井が死んだって聞いた時のオレの気持ちも知らないで…!」
「…どんな気持ちだったんですか?」
「っ…沖矢さんには教えないもんっ!」
ぷいっとそっぽを向くとオレ達の会話を聞いて苦笑いをしているコナンと目があってちょっと恥ずかしくなった
もんってなんだよオレ…
「赤井さんってリュウにとっても甘いんだね」
「考えたことはないですが、言われてみれば甘いという類に入るのかもしれませんね」
冷静に自己分析しなくて良いと思います
なんだか呆れて言葉も出なくなってきた
「…さ、もう遅いですから今日はお開きにしましょう。リュウ君は私が送りますね」
「迎え呼ぶからいい」
「いえ、君に伝えなければいけないことがあるので、ね?」
元のオレに話があると言った件だろうか…?
