第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
コナンを見るも苦笑いをしており、赤井なんてドヤ顔でチョーカー型変声機を見せつけてくる
「じゃあやっぱり赤井と沖矢さんは同一人物で…でも来葉峠で赤井と沖矢さんは別々に存在してたよね!?」
「ここの家主に変装してもらっていたんだ」
チョーカー型変声機がバレているのではないかと別の変声機を使い、会話はコナンや優作さんがしていたと言う
予想通り零は沖矢さんのハイネックを捲ったが、目当ての変声機はなく、ちょうどそこに赤井が来葉峠に出現し部下との連絡の方に気が逸れたという
「オレ達はこの小さな探偵君にまんまとはめられたって訳ね…」
「いや、でも安室さんはなんとなく気付いてる気がする」
「あぁ…観察力、洞察力に長けた安室君なら、何かしら違和感は感じただろう」
今回は赤井が来葉峠に姿を現したことと、チョーカー型変声機を使ってなかったことで一度引いたんだろうとコナンは言う
「少々賭けに出たところはあったが、安室君ならこちらの意図を察してくれるはずだ。意地悪く言ってしまったが、彼は本質を忘れるような男ではない筈だからな」
そうだろう?とウィンクを飛ばしてくる赤井に、大きく頷き返した
周りから二人を見ればお互い毛嫌いしているようにぶつかって見えるけど、やっぱりお互いに信頼できる部分があるからこそそんな態度でも上手く共闘してこれた…近くで見てたオレだからわかるよ
零を信用してくれてありがとう…
「あのさ、もう一度確認するけど、本当に赤井と沖矢さんは同一人物なの?」
「うん、本当だよ」
「今から彼になるからよく見ておくといい」
赤井は持ってきた荷物を広げ始め、マスクやメイクで顔を変えていく
その一部始終をただただ唖然と見てしまう
素早く作り上げるその顔は、もう赤井ではなく沖矢さんだ
「あとはこの変声機を使えば…"ピッ"…沖矢昴になるって訳です」
メイクを終え立ち上がり、変声機のスイッチを押すと赤井の声が沖矢さんの声に変わる
その姿に、中身が赤井とわかっていても身構えてしまう自分がいた
「先日はすいませんでした」
「え!?昴さんリュウに何したの!?」
すいませんだって?
そんな一言で済めば警察はいらないんだよ…
「許さない…」
「リュウ落ち着いて!?」
「一発殴っても良いよね?」
「うぐっ…」
返事を待つことなくオレの右手は沖矢さんの鳩尾に入っていた
