第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
「バレてないと思う。もし毒薬で生き延びたらコードネームをもらえたみたいだし…」
「でも、結果は幼児化だったんだね」
そう…生き延びたんだけど、どの道こんな状態では組織には戻れない
「毒薬を飲んだ時のこと、聞いても良い?」
そこが一番辛いところなんだけど、もうここまで知ったコナンには知っててもらってもいいかな
「実はAPTX4869をオレに飲ませたのはバーボンなんだ」
「えっ…」
ジンの目の前でやむを得ずね…
ジンはオレが毒薬を飲んだのを確認したらその場からいなくなったけど、その後残ったバーボンとライの目の前で幼児化して、2人に助けられたってところかな…
「それからは公安とFBIの監視下で保護されてる感じだよ…オレがアメリカから来たってことになってる理由、察してくれる?」
「リュウは公安ではなく、FBI所属…?」
「うーん…ややこしいんだけど、リュウはFBIから来た公安所属で、元のオレは公安からFBIに行ってることになってる」
そこでふと思い出した
「そういやまだ自己紹介してなかったね!オレの元の名前、星影叶音って言うんだ。よろしくな!」
「あ、えっと…工藤新一です…」
よろしくお願いしますなんてご丁寧に頭を下げるコナンに笑い出してしまった
工藤新一として29歳の年上の刑事のオレに挨拶してくれてるんだろうな
「新一君がコナンとしているように、オレもリュウとして叶音の存在を隠していかなきゃならないんだ。もちろん公安だってこともね。赤井の立場を理解して守ってくれたコナンだから話したんだ、オレや透兄ちゃんのこと…」
「わかってる。安室さんは探偵をしているポアロの店員でおっちゃんの弟子、リュウは安室さんと一緒に住んでる探偵の助手、普段はこれでいいんだろ?」
話が早くて助かる…
この子が敵でなくて本当に良かった
「ありがと…」
━━ガチャ
「話は済んだか?」
ドアが開き、沖矢さんを連れてくると思っていた赤井が荷物を持って一人で戻ってきた
「沖矢さんは?」
「ん?あぁ、ココにいる」
首に付けたチョーカー型変声機を指差しながらニコりと笑う赤井に、何やら嫌な予感が頭を駆け巡った
「え?」