第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
赤井の話によるとキャメルさんは凄腕のドライバーだと言う
バリケードを突破できたのも岩に前輪を乗せて車体を持ち上げ、公安の車と車の間を抜けていったそうだ
すごいですねと称賛すると、自分はまだまだと謙遜しながらも嬉しそうだった
そしてすぐに麓のコンビニに着き、全員で車を降りる
赤井とキャメルさんはすぐにタイヤ交換へと取り掛かり、オレはジョディさんと一緒にコンビニへ入り、事情を説明して駐車場の一角を借りた
「何か温かい飲み物買って行きましょ」
ジョディさんにそう言われて4人分の飲み物を買う
会計でお金を出そうと思ったら、子どもはそういうことしないのよと止められ、ごちそうになってしまった
でもそう言ってもらえたということは、極秘なオレの存在を容認してくれたのかな…
カップを持ち外に出て、タイヤを交換している2人を見ながらジョディさんと隣り合わせでカフェオレを飲む
「コナン君の様な子どもはそういないと思っていたけど、あなたもだいぶ頭のキレる子なのね…ご両親は?」
「えっと…」
リュウの親はアメリカ暮らしの日本人ってことにしていた筈なんだけど、急に聞かれるとすぐに言葉が出てこない
「ジョディ、あまり詮索しないでやってくれ…」
「え、えぇ…」
タイヤ交換に夢中になっているかと思えばこちらの会話をきちんと聞いていて、赤井がフォローを入れてくれた
「ごめんなさいね。こんな小さいのにFBIや警察で頑張っていてすごいわって思ったの」
「いえ、そんなことないです…」
「何かあったら頼ってちょうだい!」
こう見えてもFBI捜査官なんだからとウインクを飛ばすジョディさん
味方が増えて良かったけど、零が赤井を追う為にこの2人には随分荒い事をしてしまい申し訳ないと思って…なんか複雑だなぁ…
「交換終わりました、乗っても大丈夫ですよ」
「お疲れ様!」
ジョディさんはキャメルさんに、オレは赤井にコーヒーを渡し車に乗り込んだ
「キャメル、工藤邸に向かってくれ」
「工藤邸ですか…?」
赤井が後部座席から身を乗り出しピッピッとナビを入れる
工藤邸…零はもう撤退したと思うけど、赤井が沖矢さんでないとわかった今、そこには沖矢さんがいる筈
「君への話はそこでしよう」
なぜ工藤邸でと疑問しかないが、そこに何かあるのかもしれない
今度は安定した運転で走り出した
