第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
「敬語はよしてくれ…」
……そっか、ライの時は敬語を使っていなかったから!
でもFBIと公安として会うというのはまた別物だと思って敬語にしたんだけど…慣れないと言われてしまっては敬語はやめて前と同じく話すしかないか
「じゃあ…元通りで話すね」
「あぁ、そうしてくれ」
フッと笑う赤井にポンポンと頭を撫でられた
毒薬を飲んだ日の病院以来だなぁと、最後に会った長髪の赤井を思い出すと、今はさっぱりショートヘアにお決まりのニット帽で、少し新鮮な感じがする
「ちょっとシュウ!どういうことなの!?全然話が見えないんだけど!」
「さっきの奴らは一体…」
前の席からジョディさんとキャメルさんの疑問が飛んでくる
「立場は違うが本質は俺達と同じ奴らに噛み付こうとしている狼達だよ」
そうだろ?とオレに聞いてくる赤井に頷く
「例の組織を追っている、日本の警察です。先程は無闇矢鱈に追跡してしまって申し訳ありませんでした」
「警察って…確かリュウ君っていったかしら?あなたまだ子どもじゃない!」
えっと…とFBIの人にどう説明をすれば良いのか困って赤井を見ると、キャメルさんに屋根を閉めるよう指示し、閉まった所で話し始める
「この子はFBIが極秘で日本警察に送った要人で、俺達が守り抜かねばならん存在だ」
「極秘って…この事を知っているのはシュウだけなの?」
「いや、俺達のトップとジェイムズも知っている」
「極秘で要人ってことは、ただの子どもではないと…?」
「詳しくは言えんが、重要人物であることは間違いない」
組織に潜入していて毒薬で幼児化してしまったということはやはり伏せておくのだろう
この情報は拡めてはいけない機密事項…昨日のベルモットの様にいつどこで組織の耳に入るかわからないしな…
「日本警察でも極一部の人しか知りません。普段会った時には警察としてではなく、昨日の様に探偵の助手として接してください…」
お願いします、と念を押す
突然こんなことを言われても飲み込めないかもしれないけれど、合衆国の捜査官だ、イレギュラーへの対応は問題ないだろう…
「ところでキャメル。スペアタイヤは乗ってるな?」
「はい!麓のコンビニで取り替えても良いですか?」
そうそう、オレも気になってたんだ
あとキャメルさんにどうやってバリケードを突破したかも聞かなくっちゃ!
