第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
「リュウさんをどうする気だFBI!!」
『オイ赤井!返事をしろ!』
一歩下がっていた風見が赤井に迫るのと同時に、イヤホンと座席に置かれた携帯から零の声が響いた
赤井に着いて行くつもりはなかったが、元のオレに話があると言われたら拒否することはできない
だって元のオレは今FBIに籍があり、そのおかげでオレがリュウとして動けているんだから
それにここで赤井に着いて行けば、何か情報を聞き出せるかもしれない…
「零、オレちょっとFBIと行ってくる」
『何ィ!?』
置かれていた携帯を取って零と話す
「今は詳しく言えないけど、ちゃんとすぐ連絡入れるから…」
さすがに部下やオレの存在を知らないFBIが聞いている前で零に説明をするのは無理だ
ここを離れたら、すぐに連絡しよう…
「そういう訳だ降谷君。大事な部下かもしれんが、元はFBIから送った子だ、拒否はさせんよ」
持っていた携帯を俺から取ると零に言い放ち、その携帯を風見に投げて返す
イヤホンからは零の声は聞こえず、オレの半身がFBIにも籍を置いているという事実を飲み込もうとしているに違いない
零ごめん…でも大丈夫、沖矢さんの時の様なヘマはもうしないし、この赤井からたっぷり情報もらって帰るから!
「みんな、後は風見の指示で動いて!衝突で身体に違和感ある人はすぐ病院を受診すること、そうでなくても後から身体にくるかもしれないから無理はしないでね」
でもと言いたそうな部下達だが、あとは風見に任せよう…
「風見、後は零と連絡取って上手くやって」
「ですが…」
「大丈夫、ちゃんと帰るよ」
このままFBIにでも行ってしまうのかと思っているのか、やはりオレがFBIと共にすることを風見も良いと思っていない様だった
「安心しろ、ちゃんと公安に返すさ」
「ね?」
「…わかりました。くれぐれも気を付けて…」
風見がFBIの車から一歩下がり敬礼をすると、後ろの部下も続く
「キャメル、出してくれ」
「了解」
さて、零にはすぐにメールを送ろう
FBIが元のオレに話がある、情報掴んで帰るからと…
「君は部下にも優しいな」
「オレの大事な仲間なんです」
車が発進し来葉峠を下り始める
素早くメールを打ちながら赤井の言葉に返事をすると、赤井は何か言いたげにこちらを見ている
「……?」
それに気付いて首を傾げた
