第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
「この姿では久しぶりだな…元気そうで何よりだ」
この姿…?
ライでもなく諸星でもなくってことかな?
「降谷君にも言ったが、楠田の使用した拳銃を後ろの部下に授けた…入手ルートを探るのは君の得意分野だろ?」
楠田の拳銃を持ってるということは、やはりFBIが楠田の一件に関わっていたんだろうな
赤井と楠田の死体をスリ替えたのは間違いなさそうだが、赤井は沖矢さんに変装していたのではなく、赤井としてどこかに身を隠していたのか…?
「ずっと死んだと思わせてたのに、今になってオレ達の前に姿を出した理由って何ですか?」
「捜していた割には随分な言い方をするな。…ただこちらの真意をわかってもらいたいと思っただけさ」
君も似たような立場だからわかってくれるだろ?と言う赤井に、オレも赤井も状況は違うが亡霊の様な存在だったと思い出す
「降谷君は俺の身柄を奴らに引渡し大手柄をあげて組織の中心近くに食い込む算段だったようだが…」
「零はそんなこと思ってない!!」
零のことをわかっているかの様に言われ、車の淵にダンッと手をついて赤井の言葉を否定する
オレの為にもって赤井を捜していた零の気持ちも知らないで、勝手なこと言わせてたまるかっ!
「ホォー…それはありがたい。だが一応言っておく…目先のことに囚われて狩るべき相手を見誤らないで頂きたい…」
狩るべきはFBIではない…それは重々承知の上でこんなことしてるんだ
オレも零も赤井の死を認めたくなかったから…!
「それとこの可愛らしい奥の手だが、今から少し借りて行く」
「へっ!?」
話していた携帯を置いて伸びてきた赤井の両手に両脇を掴まれると足が地面から離れ宙に浮いた
「リュウさん!!」
『オイ!何をしているっ!?』
抱き上げられ隣に座らされ、赤井が覆いかぶさって来る
「ちょっ!何っ!?」
「公安警察から来たFBIの星影叶音特別捜査官に話がある」
耳元で周りに聞こえないくらいの小さな声で言うと、そのままシートベルトを引っ張りながら離れカチッと音を出す
他の人から見たらシートベルトを付けてくれた行動に見えただろうが、それはオレにひとこと言う為の行動だった
公安のオレではなく、FBIに籍を隠しているオレに話とは、一体…