第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
『連絡待ちです。現在私の連れがあなたのお仲間を拘束すべく追跡中です…』
一通りの話が終わり、ここから一気に畳み掛けて行くんだろう
仲間を追っていると言えば、さすがの赤井も正体を明かしてくれるのではないかと、まずは様子見の一手である
『できれば連絡が入る前にそのマスクを取ってくれませんかねぇ…沖矢昴さん…いや…FBI捜査官、赤井秀一!!』
ついにその言葉を沖矢昴に突きつけた
ただこれだけでは素直に正体を明かさないかもしれない…こっちも早く拘束しないと…!
そう思った矢先のこと、
『バリケード突破されましたっ!』
無線から聞こえてきた言葉に舌打ちをする
でも大丈夫、ウチの部下達ならすぐ追い付ける!
「みんな無事だね!?すぐに追って!」
零の方も気になるが、今はこちらの体制を整え直さなければならない
今度は計5台、全員での追跡となる
『ターゲットの車がふらついています…何か異常があったのかもしれません』
ふらつき…タイヤのエア漏れか?
どんな突破の仕方をすればそうなるんだ…
「先頭車両は距離を縮めて!後続車両は車間距離を各100m保ってそのまま追跡」
タイヤに異常があればそんなに速度は出せないだろう
エア漏れしているなら限界はあるし、ましてやこの薄暗い峠だ、無茶な運転は避けるはず
「リュウさん自分達は…」
「距離が離れてしまってもこのままで行こう」
前方で何かあるかもしれない
最後の砦になれるよう、慎重に行かなきゃ…
『チョーカー型変声機…大きさは丁度そのハイネックで隠れるくらいなんだよ!』
イヤホンから聞こえてきたのはオレが暴こうと思ってもできなかった変声機の内容だった
零は沖矢さんの首元を確認することが出来たのだろうか…
『こちら先頭車両!リュウさん!赤井です!!』
え…!?
「どういうことっ!?」
『FBIの車の屋根が開いたと思ったら後部座席に赤井が乗ってるんです!』
「すぐ零さんに連絡して状況を伝えて!」
オレよりも先頭車両からリアルタイムに連絡できた方が確実だと思いそう指示を送った
でもどういうことだ……零は今沖矢昴といる…でも同一人物だと思っていた赤井はここにいる…
沖矢昴と赤井秀一は……やはり別人なのか?
『あ…赤井が!?』
イヤホンから零の驚く声が聞こえる
部下からの連絡が通じたようだ
