第3章 始動/小さな探偵達
「博士~!お客さんだよー!」
「おじゃましまーす」
3人の後について家に入れてもらった
発明家で博士っていうからもう少し荒れた部屋を想像してたけど…ごめんなさい、すごく綺麗です
「おお、こりゃまた小さなお客さんじゃのぉ」
「あ、はじめまして、音月リュウです。天才発明家がここに住んでるって聞いて、直してもらいたい物があって…」
「これだよ博士!」
直してもらいたいオレのシドはあれからずっと歩美ちゃんが持っていて、オレの代わりに博士に渡してくれた
オレが博士にシドの基本的な機能と調子の悪いところを説明している間に、子ども達はテーブルに並べてあったケーキの方へ一直線であった
「あの、お金はちゃんと払うから、シド、直して欲しいんです…」
「お金の心配はいらんよ。まずは状態を見るから、君も一緒にケーキでも食べて行きなさい。ほれ、哀くん」
「とっくに用意できてるわよ」
あ、彼女が…
「リュウくん、灰原哀ちゃんだよ!」
「あ、リュウです、よろしく…」
「あなた……」
「ん?」
「…いえ、なんでもないわ」
どうぞ、とテーブルにオレの分のケーキと飲み物が用意されていて、小さいのにすごく大人な対応だ
何か言おうとしてたけど、なんだろうか
それと、零が入手してくれた写真のシェリーにどこか似ている
彼女はやっぱり薬で小さくなったのか…
「ちょっとリュウさん、初対面の女性をジロジロ見すぎですよ!?」
「なんだリュウの奴一目惚れか?」
「へ?」
ヤバ…
「ごめん、なんでもないよ!なんだか居心地いいなって思ってボーッとしちゃった」
「そういえばリュウくんも帝丹小学校に通ってるの?」
「いや、しばらくアメリカにいて最近日本に来たんだ。親は仕事でこられないから、暫くは知り合いの家にいてさ。だから学校には行ってないよ」
という設定で、と零の案である
「なんだかコナンくんに似てるね」
「コナンくん?」
歩美ちゃんの言うコナンくんってのが、毛利探偵事務所の少年のはず
今日は来ないのかな~なんて思ってると玄関のドアが開く音がして、忙しそうに
「博士っ!オレのスケボー直ってる!?」
って入ってきて、ケーキを食べる見知らぬオレと目が合って止まった
「えっと…お客さん?」
「はじめまして、音月リュウです」