第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
「ハロ、もう少し我慢な」
「アンッ」
靴を脱ぎ座席に足を上げ横になる
背もたれの方を向いていれば顔も見えないだろうし、ベルモットが乗って来ても大丈夫だろう
ハロもオレに寄り添うようにコロンと丸くなった
「病院に着いたら僕は一旦降りるが、リュウはそのままでいてくれ」
「わかった」
2人きりでもオレのことをリュウと呼ぶのは警戒している証拠だろう
オレと組織の奴らと接触させたくないと今回の件も別行動を取っていたのに、最後の最後で接触させる羽目になってしまったんだ…そりゃ警戒せずにはいられないだろうな…
「きっとコナン君はベルモットが来ると予想しているだろうが、僕がリュウとベルモットを接触させるとは思っていないと思う…だからリュウが僕といてくれればコナン君の警戒も別に向く……いてくれて助かったよ」
一時は邪魔をしたと思ったが、少しは役に立ててるみたいで安心した
「ターゲットは?」
「アンドレ・キャメル、彼ならつい口を滑らせてくれそうだからな」
確かに、今日初めて会っただけだけど、上手く誘導すればどこかボロを出してくれそうな感じではある彼だ
ベルモットの動きまでは聞かなかったけど、とにかくオレは零がスムーズに動けるよう寝たフリをすることに集中するのみ
「さ、最後の仕上げと行こうじゃないか…」
FBIの車を追って病院に着いた
エンジンはそのままで零は車を降りていく
外の様子は気になるが、いつベルモットが来るかわからないから身体は動かせない
でも、薄ら外から聞こえてくる会話が耳に入る
「楠田陸道?知らないなそんな奴…」
「あぁそうか…君のような下っ端の捜査官には降りてこない情報ってわけですね?」
零の煽りは止まらずだな…アレだけで情報を口にするとは思えないけど…キャメルさんもさすがにカッとなって話し出してくれるだろうか…
「キャメル!もォ!何やってんの!?」
そのうちにジョディさんの声が聞こえてくる
でも夏子先生の所に直行したであろうキャメルさんを呼びに戻ってくるだろうか?
外が見えないから状況がわからないけど、零はキャメルさんから情報を聞き出す前に彼と離れることになったに違いない
作戦失敗か?と思った時、バタンッとドアが開きすぐに車が発車する
「おやすみ、リュウ…」
ベルモットと合流するぞという合図に違いない
