第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
***side降谷
赤井の一件もあとひとつ最後のピースが埋まればというところまできた
楠田の情報を何かしら掴んでいるであろうFBIから情報を得る為、探偵としてジョディ・スターリングの友人に近付いているとこで、先程ベルモットと共に下準備を終え、後は明日を迎えるのみとなった
ここのところ叶音とは夜中に顔を合わせるだけですれ違う生活を送っていた
それもあと少しで終わりとなると気合いも入るものだ
今夜は日付を超える前に帰って来られたから、叶音もまだ起きているといいな…なんて思いながら家の鍵を回した
この時間帯であれば鍵の開く音の後にパタパタと足音が聞こえてくる筈だが、今日はしない
まさかまた連日徹夜で本庁ではないだろうな…と思ったが、ドアを開けると玄関には靴がある
それも珍しく乱雑に脱ぎ捨てられているではないか
そして家の中は真っ暗で、廊下の電気を付けるとハロが走って来た
「アンッ!」
「ハロただいま、叶音は?」
「アンアン!」
こっちへ来いと言わんばかりにズボンの裾を噛んで引っ張られる
すぐに靴を脱いで上がり通り道のキッチンの電気を付けると、テーブルに買い物袋が置いたままになっているのが目に入った
そしてハロが先に到着して早く来いと言っているのは隣りの寝室のベッドで、覗くとそこには小さな寝息を立てて叶音が丸くなって寝ていた
昨日は徹夜をしたみたいだからな、帰ってくるなり荷物を投げてベッドダイブといったところか…
「大丈夫、叶音は疲れて寝ているだけで前みたいに熱で寝込んでるわけじゃないさ」
「クゥ…?」
ハロを抱き上げ寝室から出し、扉を閉めた
叶音が夜中起きても良いように夜食でも作るかなとテーブルの買い物袋を開けると、いつもなら冷蔵庫にしまうはずの豆腐がそのまま入っている
余程疲れていたんだろうか…靴といい、珍しいこともあるもんだ
「アンッ!」
呼ばれて振り向くと、カリカリと音を立て洗面所のドアを気にするハロ
帰宅してからいつもと違うハロや叶音の様子に違和感を覚える
まだ何か…?
洗面所の洗濯機を見れば蓋が閉まっていて、開ければ脱水済みの叶音の服
風呂場を開ければ床が濡れていてシャワーを浴びたことはわかった
でも何だ?
こんな中途半端なことをする叶音ではない筈…