第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
「えっと…人の車に乗っちゃいけないって学校で…」
本来ならば知らない人とか怪しい人と付けるのだが、それは失礼かなと思って濁した
この前歩美ちゃんが学校で習ったって言ってたし、宅配車の事件もあったから、いくら相手が沖矢さんだからって気は抜けない
ましてや今は疑わしい人物だし…
「そうですか…おかしいですねぇ、君は学校に通っていないと思ったのですが…」
「それもコナンに聞いたの…?」
「いえ、違いますよ」
じゃあなんでと聞いても中で話しましょうと言われてしまう
もう乗るか乗らないかよりも、なんでオレが学校に通っていないかを知っているのか、そっちのほうが気になってきてしまった
コナンじゃないとしたら、いったいなんで…
「わかりました。では2人で後部座席に乗って話しましょう」
そうしたら車は動かせないでしょ?と、何としてでも車内で話したいようだ
沖矢さんってもしかして寒がりなのか?
いつもハイネックな服で首元を隠しているし…
首元……?
も、もしかして、ハイネックを着ているのはチョーカー型変声機を使っていてそれを隠すためかも…!?
赤井の真相に近付く為に、ここで確実に変声機を使っているのかどうかも確かめないと…!
「うーん…じゃあ後ろの席で、少しだけなら!」
「はい!では先にどうぞ」
言葉と共にドアを開けイスを倒してくれた
沖矢さんはエアコンだけつけますね、とエンジンをかける
それを見てから先に乗り込むと、沖矢さんも続けて後部座席に乗り込み、足を組んで身体をオレの方に向けた
さて、首元を確認する前に聞いておかないと
「それで、なんでオレが学校行ってないって知ってるんですか?」
「あぁそれなら、君が初めて会った日に元太君達が『アメリカから来たばかりで学校に通えてない』と言っていたので…」
沖矢さんと初めて会った日…コナンや哀ちゃん、少年探偵団とも初めて会った日だ
でも何日か前の話ではなく、既に何ヶ月か経っている
「あれから日は経ってるし、今は通ってるかもしれないじゃないですか」
「でも君は私の問に対して否定せず、更に今『なんで通っていないのを知ってるのか』と言いましたよね。つまり通っていないことに肯定したということになります」
そう言われてハッと気付いた
嘘でも始めから学校に通ってると言えば良かったのに、余計なことをしてしまった…!!
