第3章 始動/小さな探偵達
組織に潜ってた頃に偶然APTX4869の情報にたどり着いたことがあった
その毒薬を使用し暗殺された人物のリスト、所謂「被害者リスト」に目を通すと、殆どは「死亡」だったんだけど、その中にたった1人だけ「不明」と書かれていたんだ
それが工藤新一、今回捜査をしてもらった工藤邸に住んでいた高校生探偵
「不明と言うのは、死体が確認できていないということか?だとしたら…」
「そう、零が考えてる通り、もしかしたら工藤新一もオレと同じで身体が縮んでいて、どこかに身を潜めているかもしれないんだ」
でもね、次に見た時には「死亡」と書き換えられていたんだ
タイミング的には、そのAPTX4869を作ったであろう組織のシェリーって女が消えて間もない頃だ
そもそもシェリーだってどうやって消えてどこに身を潜めてる?
「リュウさんと同じで、身体が縮んでいるかもしれないと?」
「姿が変わっているから、組織もなかなかシェリーに辿り着かない…」
「うん、確かじゃない話ばかりして申し訳ないんだけど、オレはそう思ってる」
それとこの資料にもある通り、工藤邸の隣りに住む阿笠という家に小学生が何人か出入りしてる
その内の1人が毛利探偵事務所に居候している少年
そしてもう1人は阿笠邸に居候している少女
近所への聞き込みでも、どちらも両親の存在がまるでない
「おかしいと思わない?」
「うーん…調べてみる価値はあるかもしれないな」
「そーこーで!零、オレに潜入捜査させて欲しい!」
「はぁ!?」
子どもの中に入るなら子どものオレが適してると思うし、もし彼らが同じ境遇であるならば、何か情報が掴めるかもしれない
万が一の時は公安で保護することだってできる
「自分の立場がわかっているのか!?外に出てまた組織に目を付けられることがあったら「零が守ってくれるんでしょ?」…なっ!」
ニコっと笑顔を向けてみる
言葉に詰まった零が口をパクパクさせている
「大丈夫、組織には死んだと報告されてるし、オレだって目立つような行動はしないよ。それに、ずっと公安の中で保護されながら仕事をしてるよりも、現場に出て動きたい」
組織に捕まったオレが言えることじゃないかもしれないけど…
「………わかった。管理官に掛け合ってみるよ」
「ホント!?」
「ただし、条件がいくつかある」
条件……?