第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
「はぁー…なんとしてでも暴いてやるって顔してるぞ」
「それは零もずーっと前からそんな感じでしょ?」
誰もが赤井は死んだと言う中、一人でコツコツと生存の可能性を探していたのをオレは知っている
そしてついに集めていたピースが形になり始めてきているんだ、絶対に完成させなきゃと思うじゃないか
でも、赤井の件になると目の色変えるから、ちょっと妬いちゃうところもあるよね、本人には言わないけど…
「そうだ、一応確認だけど…赤井の居場所を突き止めたら、捕まえて組織に引き渡したりしないよね…」
ゼロとしての仕事を優先するならばバーボンとしての動きをするはず
ジンは未だバーボンを疑っているらしいし、ここで死んだはずの赤井の所在を突き止め、更に身柄を確保し引き渡せば、信頼を得られるような功績となるだろうな…
「それができれば、僕は組織の信頼を得て中枢まで潜り込めるようになるかもしれないな」
「そうだよね…」
やっぱり、そう考えるのは当然だよね…
「でもそれは叶音が嫌だろ?利用できるモノは全て利用してやりたいが、僕だって何を利用すれば良いかくらいきちんと判断できる。赤井を組織に売らなくても上手く潜り込んでやるさ」
数秒前の自分のバカ
余計なことを考えなくたって大丈夫だった…
「零、ありがと…」
「礼を言われることじゃないさ。それに赤井を殺れるのは僕だけだ。生きているなら最後まで利用してやろうと思ってるよ…FBIごとな…」
スコッチ…いや、ヒロの一件、やっぱり恨みは強いはずだけど、ちゃんと最終的な目的は理解しているに決まってる
零は利用とか言ってるけど、もしかしたら合同捜査とか、協力関係を築ける日が来るかもしれないな…っていうのはオレの希望なんだけど…
「利用するにしても、零の日本でFBIが動いてて良いの?」
ちょっといじわるに聞いてみた
すると梅昆布茶を一口喉に通し、
「……追い出すのが先だったな」
なんてすごく嫌そうな顔をして返された
「じゃあ追い出す為にも早く赤井を見つけよう!」
「フッ…そうだな…」
こうして真夜中の会議は終わりを迎えた
この後は結局仮眠程度な睡眠しか取れず、朝に弱いオレが出発時刻までバタバタしていたのはもちろんだったが、めずらしく零も慌てて支度をしていたのはオレだけの秘密だったりする
