第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
いくつか見せてもらった物も含め、どんなものが世間に出回っているのかを本庁に戻ってから調べてみたんだけど…
「今現在世間に出ている物の中に、博士の家で見たチョーカー型変声機がなかったんだ」
「変声機…?」
チョーカー型変声機…首に巻いて喉の振動を利用して自在に声が変えられるお役立ち品
発明品の中でも評判が良かったのに急に販売を止めてしまっていた
「理由はわからないけどね。発明品で気になったのはそれくらいかな…あとはコナン専用でいろいろ作ってるみたいだったよ」
「前に毛利探偵事務所で事件があった時に叶音の居場所がわかったのもコナン君専用の発明品のおかげだったからな…」
そんなこともあったなと懐かしく思いながら、居場所がわかる、という一言で今日の発信機のことを伝えなきゃと思った
「実は今日、コナンに発信機をつけられちゃってさ」
「登庁前には気付いたんだろ?」
気付いたは気付いたんだけど…
「それが、オレじゃなくて沖矢さんが気付いて取ってくれたんだよ」
「沖矢…昴…」
風見の電話に対応している隙に発信機をつけられ、それを見て発信機がつけられたとすぐに気付き、それはオレにとって困るものと判断し、取り外してわざわざオレに教えてくれた
「遠目に見て発信機に気付いて…わざわざ取ってくれた理由ってなんだと思う?」
「そうだな…」
うーんと顎に手を当てながら考える零
それと、コナンと沖矢さんの関係性から組織の人間ではないことも見えてきたということ、沖矢さんはオレの敵ではなく、ただオレのことを放っておけない大学院生と言っていたことも伝えると、渋い顔をして心配された
「叶音…ストーカーじみたことされてないよな…?」
「え?沖矢さんにストーカーされてる?ないない!なんならコナンの方がやりそうで怖いくらいだもん!」
まぁ既に発信機や盗聴器をつけられてストーカー紛いなことはされたんだけど…沖矢さんとは接触する機会は殆どないし、たぶんそういう人ではないと思う…?
いや…抱きつかれた記憶もあるんだけど、零には絶対言えないや…
「…まだ、可能性の話なんだが…叶音にだけは聞いてもらいたい事があるんだ」
オレにだけってことは、まだ証拠不十分で確信がないことなのかもしれない
「どんな可能性でも、オレは真剣に聞くよ?」