第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
そうなると今回の件は組織絡み…?
零はベルモットと一緒にいて動けない、だからオレが指名されたんだろうな…
「…わかった、すぐ向かうと部署から連絡入れてもらえる?」
『了解です。こちらもすぐ迎えに行きます』
通話を切り時計を確認する
迎えの時間も合わせればあと1時間としないで本庁に向かえそうだ
良からぬ事が起きていなければいいんだけど…こういう時のこの感じって意外と当たるから怖い
「どこの部署からの連絡?」
「…!?」
背後からの声に振り向くと、オレの寄りかかっていた壁の斜め上には窓があり、頬杖をついたコナンがニコニコとこちらを覗いていた
オレ…風見の名前とか口に出してなかったよな?
公安とも言わなかったよな?
頭の中で先程の通話を思い返したが、きっと大丈夫だろう
それよりも、この探偵さんをなんとかしないといけないな…
「今の連絡ってさ、リュウの幼児化のことを知ってる人達?」
「…だとしたら?」
「そうなら、今は別の組織に所属してるんだろうなって思って。例えば…」
━━公安警察とか?
「透兄ちゃんだけじゃなくてオレも?」
「うん。だとしたら色々辻褄合うなって」
ふーん…零を公安じゃないかって思っているなら、一緒にいるオレも同じかもしれないと考えるのも必然的か
「確かに、所属している組織はあるよ。でも、公安かどうかは肯定も否定もできないな。それに前に言ったよね、オレ、アメリカから来たって」
「ってことはまさか…」
コナンに一番身近であろう組織が浮かんだんだろうな…
もちろんアメリカから来たなんて嘘だけど、書類上一時的にそうなってるから、少しでも公安から目を逸らせるなら使わない手はない
ややこしくなるけど、もう少しコナンには悩んでてもらわなきゃ…
「そういえば、コナンはそっちの方にもコネクションがあるんだっけ…」
「……」
どこの組織とまでは言わなかったけど、微妙にコナンの表情が変わった気がした
風見の迎えまでもう少し時間はあるし、攻めた聞き方をしても良さそうだ
そう思って仕掛けようとした時、足元に何かが飛んできたのに気付き、反射的に避ける姿勢を取った
「なっ!?」
「鍋の蓋!?」
フリスビーの用に芝生に止まった銀色、そして隣りの家の窓から聞こえてくるあの声
「すいません、手が滑ってしまって…」
「沖矢さん!?」
