第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
本当にそこは気にしないで欲しい
熱が出たのは自分でもビックリしたけど、だから哀ちゃんのせいとは1ミリも思わなかったし
「で、話戻すけどさ、ゼロの別の意味ってどういうこと?」
ここまできたらワザと知らないふりを貫こうかと思う
「リュウは知ってる?日本の安全と秩序を維持するために存在する公安警察の俗称…」
「公安警察?確か俗称はゼロだったけど…」
やっぱり公安だって勘づき始めてるのか…
ゼロと聞いただけでそこまで辿り着ける推理がオレにはわからない
この江戸川コナン…いや、工藤新一の頭脳にはどれだけの知識が詰まっているのか、オレはそっちに興味があるけどね
「でも、透兄ちゃんに聞いたら本当にあだ名はゼロだったって言ってたよ?」
「そりゃあ、はい公安のゼロですとは言えねぇだろ?」
確かに、それは言ってはいけない
「透兄ちゃんが公安刑事って有り得るかなぁ?」
コナン曰くまだ確信しているわけではないようで、公安刑事ということも視野に入れて探っているらしい
これはバレるのも時間の問題か…
「じゃあオレもその線、探ってみるね」
「安室さんの一番近くにいるのはリュウだから頼りにしてるぜ?」
頼りにされてしまった
これは嘘とバレたら申し訳ないな…
「それで?今日連絡くれたのはこの話をする為じゃ無いでしょ?」
「えぇ、私が用事あったのよ」
哀ちゃんが?
「解毒薬の開発にあたって被験者の情報は貴重なの。あなたのAPTX4869を飲んだ前後の話、聞かせてもらえないかしら」
なるほど…それで解毒薬の完成に近付けるのなら…
「参考になるかわからないけど、オレで良ければ」
「良いも何も、私達くらいしかデータが取れないのよ」
貴重な存在なんだから、とため息つきながら言う哀ちゃん
確かに、そこら中で幼児化されてたら困るな
「何から話せば良い?」
「まずは私のラボ、紹介するわ」
「え!?」
ついてきて、と奥に通そうとしてくれる
まさか更に奥を紹介されるとは思ってもいなかったから、驚いてコナンと博士の顔を見てしまった
「いいの…?」
「哀君が言うんじゃからのぉ」
「ほら行くぞ」
これはチャンスかもしれない…
けれど、ちょっと複雑な気持ちもあったりする
あまり仕事モードがでないように気をつけなきゃ…