第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
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んもぅ!
何が御守りだよまったく!!
いつもの子どもサイズのワイシャツを着て登庁したのはいいが、部署に入るなり刑事達に指摘される首元
零も狙って付けたのであろう、際どい位置に数個程朝方の痕、所謂キスマークが見えている
赤いですよとか、虫さされですか?と聞かれるだけならまだ良いが、中には大バカ野郎な奴もいて、
「アレの痕、隠れてないですよっ!?」
と、10歳の子どもに向かって何言ってんだと締め上げたくなる
アレの痕ってなんだよ
オレより年上だけど立場上は部下だったよなアイツ…元に戻ったら覚えとけよ…
そしてこれではダメだと昼休みに風見に付き添ってもらってハイネックな服の調達に服屋さんへ向かう
何着か選んで会計を済ませると、
「お父さんと一緒で良いわねぇ~」
と店員に言われてしまい、もう苦笑いを飛ばすしかなかった
それもこれも零が御守りなんて付けるから!!!
領収書叩きつけてやるっ!
とまぁ色々あった午前中だったが、風見に送ってもらい今からは阿笠博士の家で発明品の話を聞こうと思っている
丁度よく哀ちゃんからも連絡が入り、ちょっぴりウキウキな自分もいたり…
もちろんハイネックな服に着替えて首元はちゃんと隠したし、これで気兼ねなく人とも会える
「こんにちはー!お邪魔します!」
「おぉよく来たのぉ!」
出迎えてくれた博士に先日のドーナツが美味しかったとお礼を言うと、いつでも揚げてくれるって言うから期待しちゃう
そして奥の部屋から哀ちゃんとコナンが出てきて、そういえばコナンに返事をするの忘れてたと今頃思い出す
「コナンごめん!返事忘れてた」
「おめぇ昨日熱出したんだってな…杯戸病院で言ってたぜ、ゼロの兄ちゃんが」
零の名前をそう呼ぶと言うことは、返事を待ってるんだけど?という催促も含まれているはず
さて、どう返そうか…
「昨日は寝てたとして、午前中に返してくれても良かったろ」
「いやそうなんだけど、なんだか忙しくて抜けちゃってた…」
「あら?学校にも通ってない小学生が何に忙しいのかしら?」
うわっ…そういうところですよ灰原さん…!
鋭いというか、何というか…
「ってゆうか?私のせいで出た熱みたいなものでしょ、悪かったわね」
「いやいや、アレはちょっと子どもの身体を舐めてたというか、ほら、もう元気ピンピンだから気にしないで!」
