第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
ゆっくり離れながら目を開けると、驚いた顔の零と目が合い慌てて身体を反転させた
「も~、コナンになんて返事しよう」
なんてスマホ画面を見ながら恥ずかしさを隠そうとしたが、背後から腕が伸びてきてスマホを取られてしまう
「かえっ…」
スマホを追って振り返ると、大きな片手が頬に添えられ、零の唇によって言葉を止められた
「……んっ」
入口を割って入ってくる零の舌を受け入れると歯列をなぞられ、それを追うと優しく絡め取られる
頬に添えられていた手は角度を変え、指が首筋を撫でゾクりと身体を鳴らす
ヤバい…身体が浮いてるみたいだ…
呼吸をするのを忘れそうになりクラクラと視界がぼんやりしていくが、もっとして欲しいと求める自分がきちんと酸素を取り込んでいく
「んはぁ…っ」
零の手の甲に自分の手を重ねるとくるりと反し指を絡めてくれて、唇は何度も角度を変えながら零に溶けていく
「…っ……」
ちゅっとリップ音を立ててゆっくり離れる零との間には名残惜しそうに糸が紡ぎ、もっとと言いたいところだったが身体に力が入らず肩で息をしたまま零を見つめた
「朝から熱烈だな…」
「はぁ…っ……れぃが、でしょ…」
嬉しそうに言う零が髪をとかすように撫でてくれるのが心地良い
このまま今日は二人でゆっくりしていたい…なんて叶うはずのないことを思いながら、ふぅーっと息を整えた
「今日からベルモットと一緒に行動するんだ。夜には帰って来るが何時になるかわからないから先に寝ててくれ。それと昼間の連絡は極力控えるように」
「うん…」
嫌だと言いたいけど、こればかりは仕方がない
しばらく帰ってこないわけではないようなので安心ではあるが、今日はもう起きている間に会えないかもしれない
「ちゃんと帰ってきてね?」
「心配ないよ、必ず帰る」
額に軽くキスをされ、夜までの時間を埋めるかの様に鼻先、両頬と徐々に下がっていくその唇にくすぐったさを感じていると、首元まで下がったところでキツく吸われてしまう
「ぁ…ちょっと、零…」
「んー?」
襟を捲られ鎖骨にまで吸い付く零を止めるが、その周辺にもわざと音を立てながら跡を残された
「僕がいない間の御守りみたいなものさ。今日からの捜査、気を付けるんだよ…」
「零も、無茶しないでね…」
軽くキスを交わし、重い腰を上げて出掛ける準備に取りかかった
