第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
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「ねぇ零!コレどうゆーこと!?」
「…朝に弱い叶音が朝から元気だな」
一夜明けた朝早く、スマホを確認するとコナンから連絡が入っていて、確認するとビックリする内容が書かれていた
布団に入ってヨコになったまま、隣りで既に起きていた零に画面を見せる
『安室さんの子どもの頃のあだ名が“ゼロ”だったっていうのは本当?他にも意味があると思うんだけど気のせいかな』
参ったな…と微笑している零はどこか楽しそうでちっとも参った様な感じではない
「なんであだ名の話になったわけ?」
「成り行きだよ。それよりも…」
顔に手が伸びてきて反射的に目を瞑った
突然なんだろうと思っていると前髪を上げられ、恐る恐る目を開けると、零の額がオレの額とくっついていた
「うん、熱も下がったようだな」
「ち、近いんですけど…」
なかなか離れようとしない零から離れようとするが、頭をしっかりと抑えられていてどうしようもなかった
「もう熱もないし、風見もいないから問題ないだろう?」
そうだけど、あだ名の問題は解決していない
唇を近づけてくる零の口を手で止めて本題に戻した
「な・ん・で!コナンがゼロって知ったのか、そっちが先!」
ムスッとする零にこちらもムスッと返した
すると零は昨日の杯戸病院での出来事を話してくれた
「病院にいた子どもがカウントしていて、ゼロと叫んだのに反応してしまってね…その流れで話しただけだよ」
「それだけ?」
「それだけさ」
ただそれだけで、コナンは別の意味のゼロに辿り着いているかもしれない…
公安警察の俗称…ゼロに…
「もしコナンが、オレ達が公安だと知ったら、零はどうする?」
「気付かれないのが一番だが、彼は公安に辿り着くかもしれない。それでも僕は今まで通り安室透で、バーボンで、降谷零さ」
問題ないよ、と言う零の瞳に、責務を全うするという信念が真っ直ぐ見えた気がした
でも…
「無理しないでね」
「大丈夫だよ」
そう返ってくるも、信念の先にどこか遠くに行ってしまいそうな零も見つけてしまい、また何か、危ないことをしているんじゃないかなと思った
「零、目ぇ瞑って…」
「ん?」
きちんと目を瞑るのを待って、そっと唇を重ねに行く
自分からすることはあまりないけれど、なんとなく今はこうしたいと思った
オレの中に引き止めたかったのかもしれない…
