第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
「アンッ♪」
「わっ、ちょっ、落ち着いてっ!」
きっと風見と楽しく遊んでいたのに急にオレの所に話にきたのが嫌だったんだろう、「話してないで遊べー!」と言っているみたいだ
ハロは本当に風見のことが好きだな
「アンアーンッ♪♪」
にしても風見の足元が激しい
ハロのせいで風見が凄いステップを踏んでいるではないか
「風見頑張れ~」
「頑張れって、リュウさん止めてください!ワンちゃん踏んじゃうっ!」
「キャンっ!!」
寝転んだまま風見を応援していると、ハロもノリ始めたのかジャンプをしたりと激しくなる
そして勢いのまま風見の背後に回り背中に飛びついた時だった
「わっ!」
「あっ!」
「アンッ♪」
━━━ボフッ
「ぐぇっ」
「アアン♪」
ハロに飛びつかれた風見はバランスを崩してオレの上に倒れ、その風見の上にはやってやったぜと言わんばかりにキラキラしているハロの姿
ぺちゃんこにされたオレは苦しいです…
「リュウさんすいません…」
そう言って顔を上げた風見と目が合うと、倒れた拍子に眼鏡がズレたのであろう、焦点が合っていないようだった
「アハハッ、眼鏡曲がってへんてこりん…」
割れなくて良かったと掛け直してやると、ようやくはっきりと目と目が合った
「…リュウさんやっぱりまだ身体熱いですね」
「そ、そう…?」
失礼、と額に手を当てられ、視線に困り目が泳ぐ
自分の上に倒れてきたから身体がくっついてることも顔が近いこともわかってたけど、熱が伝わるほど近いと思うと、この距離はちょっと恥ずかしい
「風邪移しちゃうから、離れた方がいいかな…?」
「それが、ワンちゃんが全くどいてくれなくて、どうしたものか…」
頭をよけて風見の背中のハロを見ると、丸まって休憩しているではないか
「なんかすいません、近いですね」
「うん…」
改めて言葉に出されると照れるというか…2人で視線をそらし、頬を赤くした
「…全く、いいご身分だな」
入口の方からした声に2人でハッと振り向くと、柱に寄りかかり腕組みをしているご機嫌斜めな零がいた
「ふ、ふるっ、降谷さんっ!?」
「零!これは、その、事故で…!」
ツカツカと部屋に入って来ては風見の背中のハロを抱き上げ床に降ろす
風見もすぐに動いてくれて、ようやくオレも上半身を起こすことができた…のはいいが…
