第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と
「本当に必要な時に頼るかもしれないから、その時はよろしくな?」
「わかったわ…」
ありがとうともう一度哀ちゃんにお礼を言って時計を見ると、そろそろ零が迎えに来る頃だった
窓から門を覗くとやはり時間よりも早くRX-7が停まっていて、スマホにも「着いたからいつでも」と連絡が入っていた
「悪い、迎え来ちゃってるから帰るわ」
「あれからバーボンに変わりはないのか?」
ミステリートレインで目的は成されたはずなのに、何故ポアロに居続けるのか、他に目的があるのか、わからないことがあるとコナンは言う
ポアロで安室透の様子を伺ったり探りを入れられていると零が言っていたから、コナンなら既に何かしらの情報を手に入れているんじゃないかって心配してたんだけど、まだ大丈夫そうだ
「あとさ、リュウと安室さんの本当の関係、知りたいんだけど」
アメリカから日本の知り合いに預けられたその先がバーボンの所だなんておかしいと思わない?と、オレの嘘を見抜いているかのように笑みを浮かべながら攻めてくる
「オレも組織側の人間だって疑ってるってこと?」
「いや、そうじゃないってことは確信してるから、余計にわからねぇんだ…」
確信とは?
一体オレの何を知って組織側でないということがわかっているのか、オレはそこがわからない
そもそもオレの存在なんて公安とFBIしか知らないはずだし、真実を知っているのも限られた人だけだ
となるとその中でコナンと繋がりのある人物がいる…
公安側は絶対ない…となるとFBIの赤井とその上司…いや、いくらコナンが工藤新一と知っていたとしても、情報を流すことなんてするか?警察組織でもない、ただの高校生探偵だぞ?
「その確信というのはどこから?」
「それは教えてあげられないよ」
教えてくれる気がないならオレだって教えないし、零の関わることはオレの判断では安易に言えない
「じゃあオレも教えられないな。探偵らしく推理してみて」
楽しみにしてるね、とカバンを肩に掛けながら玄関に向かう
やっぱりダメかと苦笑いを向けられたけど、そんな顔してもダメなもんはダメ
「今日はありがとな!博士にもよろしく伝えといて!」
またね、と玄関を出る
コナンはオレと零のことにまで目を向け始めたか…
これは零ときちんと話を合わせておかないとダメだな…
そう思いながら車まで駆け足で向かった