第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と
「ずりぃぞ灰原!俺の分も!」
「だーめーよ!!ラブコメにしか使わないあなたにはあげられないわ」
ラブコメ…?
えっと…工藤新一は高校生で、その周りの高校生といえば…
「え!?まさか蘭さん!?」
「えぇ。ことある事に薬くれ、薬くれって」
「仕方ねぇだろ~!」
薬くれってヤク中じゃないんだから…
でもそっか、蘭さんとね~…って!今、同棲してるのと変わりなくない!?
「…青春真っ盛りな高校生って羨ましいよ」
「お前だって俺より年上なんだし、相手いねーのかよ?」
相手…
まさか零で透兄ちゃんでバーボンだとは言えない…
「うーん…秘密かな!」
「ほら灰原!こんな素性のわからない奴に解毒薬はマズいだろ!」
「宅配車で円谷君を助けてくれたり、今日の様子を見ていてこの人はきちんと状況を判断して必要な時だけに解毒薬を使える安全な人と判断したまでよ。それに、私も助けてもらったし…」
「ズボンくらい俺だって貸すって!なぁ灰原頼むよ~」
コナンは何がなんでも解毒薬を常備しておきたいんだな…
でも使いすぎると身体に免疫できちゃうかもしれないんだよな…どのくらい薬を使ってるかはわからないけど、コナンの身体は大丈夫なのか?
「ズボンの問題じゃないの!いい加減にしなさい!」
ピシャッと雷が落ちるような哀ちゃんの怒りに「まぁまぁ落ち着いて」となだめた
「哀ちゃん、気持ちは嬉しいけど、オレはバーボンと一緒に住んでるわけだし、この解毒薬が見つかったらヤバいと思うんだ」
「そうやってこの絶好のチャンスをしっかりと判断して断れるんだから、私はそういう人に持っててもらいたいわ」
ギロッとコナンを睨む哀ちゃんの怒りはまだおさまっていない様だった
「ありがとう哀ちゃん。信用してもらえてるってわかっただけで嬉しいよ」
本当は解毒薬をもらって解析を掛けたりとやりたいことは色々あるけど、哀ちゃんが一生懸命作っているであろう解毒薬を無駄にはしたくない
もちろんバーボンに解毒薬がバレたら…なんて表向きの理由だけど、万が一の時に服用してオレの元の姿が組織の目にでも入ったならば、それこそ零に迷惑がかかってしまい次こそ危ないかもしれない
それにコナンはこうやって一緒にいてくれてるけど、きっとオレの素性を探っている
バーボンとの関係だって色々と疑っていると思う
だから今はまだ…