第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と
「殴られたって…組織の誰に?」
「ジンだよ。取り引き現場を見てたら背後から棒で頭部強打…」
それは災難だったな…
でもあのジンが撲殺ね…
「ハハッ…」
「何がおかしーんだよ」
「いや、あのジンが棒で殴ってるところなんて見たことないから、なんだかおかしくなっちゃった」
ことある事に銃を出すジンがね…
「なんならあいつら、取り引きの前にジェットコースター乗ってたぜ?」
「ジェットコースター!?」
あいつらってことはジンとウォッカの2人だろ?
あの2人がジェットコースターって…
「何それ笑えるっ!!」
驚きと共に起き上がって、どんな顔して乗ってたのかとか想像したら笑いが止まらずお腹を抱えた
こんなことジンの前でやったら身体を蜂の巣にされてしまいそうだけど、こんな面白いこと……絶対零に言わなきゃ…!
「久しぶりに笑ったわー!あ、だから哀ちゃん、あんな薬作らなきゃ良かったって、あんまり考えすぎなくていいよ?そりゃあの薬がなかったに越したことはないけど、あの組織にいたなら作らざるを得なかっただろうし、現に哀ちゃんは解毒薬作ろうと頑張ってくれてるんだからさ!」
毒薬を作った人が哀ちゃんの様な人だとわかると、なんだか責められなくなったっていうのもあった
一番悪いのはあの組織だし、今も無理に働いている人や知らずに働いてる人がいるのかもしれないと思ったら、なんとしてでも壊滅させなきゃいけない…その為に零が頑張ってくれてるんだから、オレも頑張らなきゃ…
「…リュウって灰原に甘いよな」
え?そう…?
「解毒薬を手に入れようって魂胆かしら?」
「ないない!まだ開発途中なんでしょ?開発途中の薬がヤバいってのはもう身をもって体験してるから…」
あぁ~…と3人で小さくなった時のことを思い出して苦笑いを浮かべた
すると哀ちゃんが小さなプラスチックケースを持ってきて中を見せてくれた
そこに入っていたのはカプセル状の薬…
「これが一時的に戻る解毒薬よ」
そう言うと、一粒取り出し別の容器に入れて差し出された
「え…?」
「その身体じゃどうしようもない事態になることだってあるの。あまり服用して欲しくないけど、本当に緊急の時にこれがあれば、助かる命もあるかもしれないわ…」