第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と
「おぉ哀君、そろそろケーキが届く頃じゃぞ!」
博士の家に入ると甘い香りが家中に広がっていて、エプロンをした博士がキッチンでかなりの量のドーナツを作っていた
博士ごめん、ケーキはもう沖矢さんの所に届いてるんだ…
「事件に巻き込まれてるから、外であの子達に立ち会ってくれるかしら?」
「なんじゃと!?」
ここで待っててと哀ちゃんは地下へと下がって行き、博士はコンロの火を止めてせかせかと外へ出て行った
まさか博士の家にポツンと1人でいることになるとは思ってなかったな…と部屋をぐるりと見渡す
テーブルには7枚のお皿やフォークが既に用意されていて、オレ達が冷蔵車で冷やされてる間に準備をしてくれていたことがわかる
コナンの電話ですぐにメモを取れなそうにしていたのも、きっとドーナツを揚げていたからなのだろう
ドーナツ作りもできる博士ってすごい…けど、メモして通報して欲しかったな…
「おまたせ…」
すぐに着替えた哀ちゃんが手に光彦の上着とオレのズボンを持って下りてきた
「助かったわ。洗って返せなくて悪いわね…」
「気にしないで!役に立てたなら良かったよ」
ズボンを受け取りすぐに穿く
ひんやりしていた足もこれでもう大丈夫そうだ
「でも残念だったな…あのニットのワンピース、手編みだったんだろ?」
「えぇ…お気に入りだったんだけど仕方ないわ」
腕を組みながら柱に寄りかかり残念そうに溜め息をつく哀ちゃんは、今度はズボンを穿いている
ズボンでクールな感じも良いけど……って何考えてんだオレ…
「そうだ!お湯でもなんでもいいんだけど、温かい飲み物できるか?みんな身体が冷えきってるだろうから…」
少しでも温かい物をんで内側から体温を上げた方が効率が良いと思い、お願いしてみた
「ポットのお湯が湧いてるし、お茶ならすぐに淹れられるわよ」
「よし!オレも手伝うよ」
湯呑みの場所を聞いて6つ取り出しお盆に乗せた
哀ちゃんは急須の用意をしてポットのお湯を注ぐ
「…あなた、何者なの?」
「え?」
「円谷君の応急処置にしても、いくら大人でも普通じゃあんな冷静にできないわ」
雪山に住んでたとか?と冗談で笑われてしまう
「前に仕事で雪山に行くことがあって、その時救助方法を習っただけだよ」
「組織にいながら普段はどんな仕事してたのかしら?」
あ、やば…