第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と
「でもスゲーなお前…」
「あのレシートの暗号を見て来てくれたんですよね?」
元太と光彦が尊敬の眼差しを送りながら言うも、
「レシート?あぁ、猫の首輪についてた妙なレシートなら風に飛ばされて見つけられなかったよ」
と返す透兄ちゃん
「え?じゃあ、GPS辿って来たの?」
「いや、リュウのスマホは繋がらなかったよ」
そういえば忘れてたとパーカーのポケットからスマホを出すと、既に電源が落ちていた
やはり寒さで電圧が下がってダメだったか…
「ここを通ったのはたまたまさ」
まだポアロの時間のはずなのに、たまたま通るなんてことはないと思うし、レシートと聞いて大尉の首輪についてたレシートなんて言うんだから、絶対あの暗号を解いてきたに違いない
でも、たまたまって言ってるから、そういうことにしとこ…
「じゃあさ、探偵さんも一緒にケーキ食べる?」
歩美ちゃんの優しいお誘いに「いやそれは!」と言いたそうに焦るコナンがいて、それぞれが正体を隠し合ってるとは知らない純粋な小学生はおもしろいなぁと笑いそうになった
「僕がいては邪魔になってしまうから、みんなだけで楽しんでおいで」
はーい!と元気に返事をする子ども達
警察もそろそろ来ると思うから、ケーキまではまだ辿り着かなそうだけどな
「リュウ、今日はもうポアロも終わったから、迎えが必要な時は連絡を入れてくれ」
「うん!透兄ちゃんありがとう」
「えぇ!リュウ君が一緒に住んでる知り合いの探偵って、この探偵のお兄さんなの!?」
「そうだよ?」
あぁ、そういえば特に安室透だってことは歩美ちゃん達に言ってなかったっけ
「君達とは前に警視庁の前で会ったきりだったね」
安室透です、と改めて自己紹介を始める透兄ちゃん
警視庁前で会ったとは聞いてないけど!
そんな際どい所で会うなんて、ヒヤヒヤする…
「それじゃ、また…」
車に乗り込み去っていく透兄ちゃんをみんなで手を振って見送った
車が見えなくなった辺りで哀ちゃんに袖を引かれ、何かあったかなと話を聞くと、
「警察が来る前にズボン返すから、来て」
と半ば強引に博士の家に連れて行かれた
そういえば哀ちゃんのニットの服は全部ほつれたんだった
あの後毛糸はどうなったんだろう
……毛糸が引っ掛かっているであろう道なりを想像して、複雑な気持ちになった