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胸の扉

第2章 暁の国


「姫様は顔を公表されていません。前国王両陛下が、10歳になるまでは、彼女のプライベートを守りたいと公表しなかったのです。そのまま両陛下は、姫様が5歳の頃テロにあってしまい、亡くなりました。そのまま姫様の叔父である現国王、クラエス様が身元を引き取りました。」
「そうですか。様々な事情があるのですね。」
「ええ。しかし、両親がなくなったと言うことで、甘やかされて育ったため、性格はかなりなものだとか。」
「会ったことはなのですか?」
「はい、限られた使用人しかお会いしてたことはないそうです。欲望に忠実で、その、お身体がだらしないとか。男を夜な夜な部屋に呼んでいるとか。まぁ、どうぞ仲良く。」
まるで貧乏くじを引いた哀れな人だと思っているようだ。

噂は噂でしかない、とは思うのだが。
王宮の使用人でさえこの言い草なのだ。
だんだんと不安になってくる。

「こちらです。姫様はすでに到着されております。」
運転手がトランクから荷物を取り出す。
「こちらでいつでも私と連絡が取れます。ああ、あそこのエレカで出かけてもらっても構いません。姫様にカードを渡してあるので、そちらでお買い物してください。では。」

待ってくれ、と声をかける前に颯爽と去っていってしまった。
あり得ない、一国の姫がこんなにもぞんざいに扱われているとは。

降ろされた荷物を運びながら、長い玄関のまでの道を歩く。

渡されたカードキーで中に入った。
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