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胸の扉

第7章 扉の向こうへ


「や、やっぱり心配だわ。もう少し・・」

「何言ってるんですか、ほら、もう待ってますよ。」

アリアはイザークと共にプラントに行くことにした。
しかし、弟が気になり、空港で押し問答が始まった。

「イザークさんが待ってますよ?」

彼の名を聞いて顔が真っ赤になる。
なんだがこちらまで恥ずかしくなってしまう。

「ほら、お姉さま。」

「え、ええ。」

怯んでいるすきに背中を押す。

「体に気をつけて、何かあったらすぐ連絡してね、それから・・」

「わかってますから、ほら、シャトル行っちゃいますよ。」

プライベートジェットといえど、飛行機を飛ばす時間は決められている。

「ええ・・・・。元気で・・」

瞳に涙がたまる。

「まったく、一生の別れじゃないんですから・・。何かあったらしっかり頼らせていただきますから。」

お互いにしっかりと抱き合う。

「ええ、いつでも連絡して」


ゲートを越え、イザークと合流した彼女は心から嬉しそうに駆け寄った。
その顔を見たら、もう何もいえない。

「一生会えないわけじゃないんだ・・・」

姉の前で強がって見せたが、まだまだ子供だ。
これからが不安で仕方ない。

「陛下、前国王のことですが・・。」

「ああ・・・、逃げ出したみたいだな。」

「はい・・・。」

「大丈だ、すぐ見つかる。今の叔父に利用価値はないのだから時期に見つかる。」

「はい・・・。」

彼は子供の頃から一緒に育ってきた。
臣下というよりも友達に近い。

「なんだ?」

「はい・・、いや。」

彼はポンと肩をたたく。

「無理すんなよ。俺もいっつもそばにいるからな。」

「ああ・・・。ありがとう・・」

泣きそうになるのを見られたくなくてつい顔を背けた。
姉が嬉しそうにこちらに手を振っていた。
それに応えるように満面の笑みで手を振り返した。

これは悲しい別れじゃない。
歩む道が分かれてしまっただけ。


お互いに新しい場所へ行くための扉に手をかけたのだ。
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