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胸の扉

第6章 反乱


裁判は、拍子抜けするほどあっけなく終わった。

それはそうだ、オーブもプラントも敵に回してたかが小国が叶うはずないのだから。
脅しの要素としてあったアリアの弟もなぜかオーブに招かれており、利用されることもなかった。


「一件落着だな・・。」

疲れたというようにカガリがソファーにどかっと座る。

「ありがとう、カガリ・・。結局みんなに迷惑をかけてしまったわ。」

「いいんだ、私もお前に何度も助けられた。これでやっとお返しができたな!」

カガリの邪気のない笑みは人の心を温かくさせる。
つられてアリアも微笑んだ。

「でも、王位はどうするんだ?お前が次ぐのか?」

「いいえ、僕が継ぎます。」

いつの間にか現れてたアリアの弟、ユリウスだ。

「ユリウス!あなたはまだ・・。」

「子供だっていうでしょ、お姉さま。でも、僕だって役に立ちたい!」

久しぶりに会う弟ユリウスはすっかり青年の顔つきをしてた。

「だから、お姉さまは彼の元に行きなよ。」

彼と言われて顔から火が出るほど恥ずかしくなった。

「な、何をいっているの?私はまだ・・・。」

「プラントでもできるでしょ。できないことは僕がやるから。」

声変わりした弟はとても頼り甲斐のある人物になっていた。

「今まで僕を守ってくれてたの知ってるよ。でもどうしていいかわからなかったんだ。やっとお姉さまに幸せになってもらえる。」

あんなに小さかった弟が、感激で目の前が霞む。

「だってよ、アリア。」

カガリがさらに後押しするように背中をポンと押す。

「いってこいよ。」

そう言われてまた頰に熱が集まる。
自分が今どんな顔をしているのか自覚したくなかった。
何もかも放り出して彼の元に行きたい。
まるで恋する乙女のように恥じらっている。

「そんな顔されたら、こっちも照れるぞ。」

カガリの言うことはもっともだ。

「いってこい、向こうの部屋にいるはずだから」
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