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胸の扉

第6章 反乱


こんこん、とドアを叩く音が聞こえた。

「誰?」

返事をすると、許可したわけでもないのに扉が開く。

「アリア・・・!」

イザークが飛び込んできた。

「イザーク・・・!!」

そのまま、彼の大きな胸に抱きしめられる。

「アスハ代表がお膳立てしてくれた。だから、この裁判で裁かれるのは彼一人だ。」

「・・・・どういうことですか・・?」

「叔父である国王はフリーダムとジャスティスを作ったスカンジナビアの企業を買収しようとした。そしてその技術力を手にし、テロリストの手助けをしようとした。その企みに気付いたアリアが代表となることで国王が手を出せないようにした。それがラクス・クラインが書いたシナリオだ。」

イザークがアリアのほおを両手で包むこむ。

「なぜ・・、そこまで・・・?」

理解できたいと言ったように目を見開く。

「どうして好きな女を見捨てることができる。」

頰に熱が集まる。
どうしてそんなセリフを真面目な顔で言えるのか。
しかし、イザークだから似合ってしまうのだ。
イザークは優しく微笑みを浮かべるとアリアにキスを落とした。
ポロポロとアリアの涙が流れる。

「でも・・、私は今まで・・・。」

「これからが大事なんだ。過去は変えられない。」

イザークの言葉は重みがある。

「大丈夫だ。一人じゃない。お前が一人で背負うというなら一緒に背負ってやる。だから逃げるな。」

そうだ、逃げようとしていたのだ。
平和になりつつある世界。
そこに私はいらない。
そう思っていた。
いや、思いたかった。
ずっと一人だったから。

「弟もいるんだろう?一人にさせるきか?」

全て投げ出して逃げたかったのだ。
死ぬことで罪を償う、大層なことに聞こえるがそれ以上の責任を放棄するということだ。

「ご、ごめんなさい・・・。」

「そう思うなら生きろ・・、いや、俺と一緒に生きて欲しい。プラントにきてくれ。」

アリアはイザークの差し出した手に引き寄せられるように重ねた。
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