第1章 突然の指令
「お呼びでしょうか叔父様?」
深いベールを被った女性が訪ねる。
小さい声ではあったが、不思議と通る声だ。
「ああ、今度オーブで様々な協議が開かれるのだが、その、パーティーだけ参加してはくれないかね?」
「かしこまりました。」
彼女に拒否権はない。
「迷惑をかけるな。」
にやにやといやらしい笑みを浮かべる。
かけらも迷惑をかけたとは思っていない顔だ。
簡単に挨拶をすると自分の宮殿へと戻る。
宮殿の外に出たのは実に15年ぶりであった。
彼女は自分の人生について諦めていた。
今回も叔父に利用されるのだろう。
そっと、窓ガラスに触れる。
庭の葉は紅く染まり始めていた。