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胸の扉

第5章 決意の時


暖かい腕に包まれて目が覚める。
その幸せな状況に思わず頰が緩む。

「目が覚めたか?」

先に目が覚めていたらしいイザークが優しい声をかける。

「おはようございます。」

そのまま彼の胸に顔を埋める。

優しく撫でられる感触を頭に感じながらも言う一度目を閉じる。

だが、幸せに浸りすぎてはいけない。

「朝ごはんにしましょう?」

「ああ、そうだな。」

二人でリビングへと向かって行った。


「アリア?」

朝食の時から浮かない顔をしていた。

「アリア??」

「あ、・・・。はい。・・。」

「どうしたんだ、ぼうっとして。」

「昨日のことについて考えていたのです。・・今、弟は大西洋連邦の首都、ワシントンにいるのです。」

「なぜそんなところに!?」

「・・・・・。弟は薬学に興味があるのです。薬学のトップは大西洋連邦です。そして、戦中に人質として送ったのです・・。」

「そんなことが・・・!呼び戻さなかったのか?」

「学ぶだけなら良い環境ですから・・・。弟は好きなことをしていて欲しいから。・・・・なぜクライン家のファクトリーと繋がっているのかと気になっていましたよね。ラクス・クラインの父、シーゲルクラインはスカンジナビアで極秘に生まれたコーディネーターです。彼は私の父の従兄弟なのです。」

「そんな・・。では、ラクス・クラインと親戚関係であると?いや、だとしても、ファクトリーとのつながりは・・?」

「このファクトリーの全権は実は私が持っているのです。クラインとは元は父の名前。即位する時に手放した名です。インフィニットジャスティスとストライクフリーダムを開発した理由は・・。いずれ必要になる力だと、この混沌の中で絶対的な力が世界の抑止力になると信じたからです。その大きすぎる力を正しく使ってくれるもの、他のだれかに使われるくらいならと、自分から作ったまでです。」

「プラントでも地球軍でもなく、オーブに・・・。」

「建前でも中立を選んだ方がいいと思いまして。」

「そうか・・・。」

コポコポとコーヒーの音だけが部屋に響く。

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