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胸の扉

第4章 夢のカケラ


ソファーに座りイザークにもたれかかる。

叔父をどうにか引きずりおろさねば。
でなければ、わたしだけでなく弟にも危害が及ぶだろう。

そして国民にも。

もはや自分だけの問題ではないのかもしれない。

「アリア・・。」

優しく肩を抱いて呼びかけるが反応がない。

「アリア?」

もう一度呼びかけるものの、彼女はぼーっとしているだけで呼びかけに答えない。

彼女のほっぺに軽くキスをしてみる。

小さな悲鳴をあげて、顔を真っ赤にしながらこちらをみる。

「い、イザーク・・。」

「難しく考えすぎないで、」

「そうは言っても・・。まだ叔父の企みがわからないから・・・。」

そう言いながらも擦り寄ってくる彼女がたまらなく可愛く、自分でも重症だなと思う。

以前カガリ達に、惚れることはないと言ったのが随分昔のことに感じられる。

「人とあまり関わったことがないと言っていましたが、その甘え方はどこで学んだのですか?」

彼女を優しく撫でながら、訪ねてみる。

「え!!え・・・。猫をがずっとそばにいたので・・。あの子が、その・・。」

「こうやって甘えてきたのですか?」

彼女は恥ずかしさで俯いてしまった。
からかいすぎたのを反省しながら彼女を抱きしめる。

「まだ、時間はありますから、ゆっくり考えましょう。」


彼は時間があると言ってくれたものの、実際にはないだろう。

彼自身は頭が良くない。
しかし、彼は悪事を働く悪知恵がうまいものを見抜く力だけはある。

何を企んでいるのだろうか。

今までの叔父の行動を分析してみなければ。

「何してるんだ?」

「イザーク・・。眠れなくて、少し作業を・・・。」

「あまり夜更かしすると体に障るぞ。」

柔らかいブランケットが肩にかけられる。

ぎゅっとされて頰が自然と緩む。
この幸せに浸っていたい。
父と母が亡くなってからずっと気を張っていた。

「もう少ししたら寝ますから。」

「そうか。さっきニーナが持ってきた資料はなんだったんだ??」

現代、紙の資料はほとんど使われることがない。
個人的な趣味で扱う人か、かなりの秘密事項なのか。
データは100%ハッキングされる可能性が高い。

「この資料はですね・・・。」
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