第4章 夢のカケラ
「初日から彼を誘っていたと報告があったのですが?」
見下すような不快な笑みだ。
深く、ため息をつく。
顔を上げたアリアは、恐ろしいほど冷たい顔で、背筋が凍った。
ニーナは顔が真っ青になっていた。
ニーナはやっと間違いを犯したということを悟った。
「も、申し訳ございません!」
先ほどの態度はなんだったのだろうかというほどの変わりようだ。
「帰りなさい。叔父様も、あまり舐めた態度を取りすぎないようにと伝えなさい。王位継承順はわたしの方が上だということを忘れるな。」
ニーナは散らばった資料をまとめ、膝をついてアリアに手渡した。
「も、申し訳ございません・・。」
肩を震わせ怯えきっているのがわかる。
ニーナは真っ青な顔をしながら帰ってしまった。
「アリア・・・。その、俺が初日にしたことで、誤解されてしまってすまない。」
「いいえ、何かお考えがあったのでしょう?」
「・・・。ああ。このお見合いにはどんな意味があるのか。二人の中が近づくことで不利益を被るやつがいるのか、それとも利益があるのか。その判断ができると思った・・・。」
アリアに近づくと優しくその手を取った。
「叔父はこの状況でわたしを殺したいのでしょう。そして、プラント、オーブの弱みを作りたいのです。そう・・・。思っていましたが。他の企みがあるのでしょう。」
「他の企み?」
「弟がいるのです・・・。わたしの動向を監視している風に見せかけて、弟を始末する気なのでしょう。」
「なんのために・・。後継者はいないと聞いていますが・・。」
「叔父にとって後継者などどうでも良いのです。オーブとプラントがトップに立ったばっかりで、まだ基盤を固めれてないことから、崩そうとしているのでしょう。」
「別にトップにったった気は・・!」
「旗からみればそう見えます。」
静かに彼女が手を握り返す。
「アリア・・・。」
彼女を優しく抱き寄せる。
「彼は親族にも手を出そうとするようなゲスな人間です。そして、公にはされていませんがあの。ロード・ジブリールの同級生で仲良くしていたそうです。なぜ、オーブに彼がいたか、それは叔父が手配して秘密裏にオーブと取引をしたからです。彼はずる賢いですから、自ら手を汚すようなことはしません・・。」
「もういい・・・」
そして彼女の唇に優しく触れた。