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胸の扉

第4章 夢のカケラ


カタン、と何の音で目がさめる。

映画はちょうどエンドロールが流れていた。
中盤まで見たはずだから、あの後4,50分立っているのだろう。

部屋は日が落ちていたこともあり暗くなっていた。

彼女を起こさないようにそっと離れる。

念のため銃を構えて構えて玄関に向かう。
誰か玄関に立っているようだった。
気配は素人だ。

しかし用心することに変わりはない。

「誰だ?」

ドア越しに尋ねる。

「失礼、気づかれてましたか。姫様に少しお話ししたいことがありまして。」

オーブに来て初日、この家まで案内してくれたニーナだった。

「今は休んでいるので、また出直しますか?」

「いいえ、眠っているなら起こしてでもお話しします。」

ドアを開けると断りもなくズカズカと部屋に入って行く。

「おい、!」

「失礼します。」

そのまま廊下を奥に進むと、すっとアリアが背筋を伸ばし少し険しい顔で立っていた。

初めて会うであろう彼女に驚いたのだろう、一瞬ニーナがたじろぐ。

「初めまして、私は・・」

「下がりなさい。歩きながら私に挨拶?アポイントも取らずに私と話そうとする?どうやら我が国は恐ろしいほど礼儀がない国なのですね。」

「それは、その・・。」

顔が整っているせいか、凄みがます。

「出直して来なさい。」

控えめで、いつも影にいるようなイメージだったが、新たな一面を見た気がした。

「しかし・・・。国王陛下から伝言を・・。」

アリアは何も言わず、冷たい瞳で見つめる。

「ず、随分と偉そうな態度を取るのですね。」

明らかに押されているのに、なぜか強気の態度に出る。

「なるほど、その容姿で男を連れ込んでいたのですね。納得致しました。」

「下がりなさい。」

一層険しい顔をする。

「では、この資料を読んでおいてください。」

すっとカバンから紙の資料を取り出す。

今時紙の資料など見ることは少ない。

その資料にアリアが手を伸ばす。

ニーナはその資料をわざと床に落とした。

「ああ失礼いたしました。」

クスリと不快な笑みを浮かべる。

「ではこれで失礼いたします。」

礼もすることなく背を向け玄関に向かう。

「待ちなさい。ゴミを片付けてから帰りなさい。」

「ゴミではなく、資料ですよ。遊びでしか人と関わったことがないあなたにはわからないでしょうが」
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