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胸の扉

第4章 夢のカケラ


朝早く一人でそっと起きる。

もうすでに日が上がり始めていたが薄いネグリジェ一枚で砂浜に降りる。

歩くたびにネグリジェがまとわりつく。

両手で裾をつまみ足をあらわにする。

身軽になりくるくると回って見る。

今まで聞いたことのないさざ波の音。
磯の香り。

海の方に近づき押し寄せる波に足を濡らす。

「冷たい・・。」

秋になりかけた海は冷たく、目がさめる。

あと何度私は太陽を登るのを見ることができるのだろうか。

今回オーブで私を暗殺し、オーブとの亀裂を作る。
そして勢力の弱くなっている地球軍と手を組み、世界をまた混沌へとひきづりこもうとしているのだろう。

オーブで他国の公人が殺されたとなれば、大きな貸しを与えることになる。
その弱みが欲しいのだろう。

自分の命などどうでも良い。
しかし、私が死ぬことで誰かに迷惑がかかることも知っている。
弟のことも気がかりだ。

日が昇り滞在している家が日を浴びる。
そろそろ戻らなければイザークが起きてしまう。

「きゃっ!」

扉を開けると同時にイザークにぶつかりそうになる。

「どこに行ってたんですか!?全く・・。」

怒ったような呆れたように髪をかきあげる。

「ごめんなさい・・。」

部屋に入るとコーヒーのいい香りが漂っていた。

「体が冷えたでしょう。暖かいの用意してますから。」

肩にショールをかけ、背中を押される。

こくんと頷き、大人しく従う。

「次は俺も誘ってください。いくらオーブだといえ、気を抜きすぎです。」

「でも守ってくれるのでしょう?」

首を少し傾げて上目遣いで見てみる。

「ばっ、なっ!!万が一もありますから!」

顔を真っ赤にさせる。

その姿が可愛らしく、ついからかいたくなる。

「今日は何しましょう?」

「そうですね、映画とかどうですか?食べ物と飲み物を用意してひたすらみるんです。経験したことありますか?」

「いいえ、映画とかもあまり・・。」

珍しいと思うが、立場上いろいろ制約があるのだろうとイザークは自分を納得させる。

「友人からおすすめ聞いてますから、たくさん見ましょう!」
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