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胸の扉

第3章 お互いの距離


思わず目を見開く。

アリアは優しく、少し悲しそうに微笑んだ。

「なんか、少しだけ気持ちが軽くなりました。ずっと、オーブを許さないといけないと思ってて・・」

鼻の奥がツンとする。
不覚にも、目に涙がたまる。

そっと頰に触れる。
シンは驚いて彼女を見つめる。
アリアは微笑んでいるのに泣きそうで胸が苦しくなる。
ふと、ステラのことを思い出した。

「あっ、」

自分の思いばかり喋ってしまった事を後悔した。

「すみません、俺・・・。よく言われるんです・・。」

「いいえ、素直でいいと思いますよ。あなたは優しすぎるのでしょうね。思いがまっすぐなんでしょうね。」

頰から温もりが離れていく。

「あの・・」

「行きましょ〜!!」

喋り終えたルナマリアが呼びかける。
イザークはアリアのそばに来て手を差し出す。

その手を取りアリアは先に歩いて行ってしまった。


「ルナマリアさんは黒いドレスが似合うと思います、」

「あ、ありがとうございます。でも・・。これ高いんじゃ・・」

「大丈夫ですよ、経費で買いますから。」

「でも・・。」

女同士であれば買い物も楽しいかと思ったが、ルナマリアが異様に緊張しているみたいでどこかぎこちない。
しかし、ルナマリアは少しだけ心が踊っているようだ。

「うわぁ。すごいドレス・・!肌触りが違う!!」

「そちらもお似合いですよ。この靴と合わせたらぴったりですね」

「わー!すごい素敵!!」

無理にテンションを上げている部分もあるような気がする。

「ルナ・・。」

ポツンとシンがつぶやく。

「なんだ、彼女が心配か??」

「心配ですよ・・。前もラクス様のとこ行った時のすごい緊張してたんですから。俺らは一般人ですよ。」

「別に変わらんだろ。」

「そんな事ないですよ・・・。」

「隊長!アリア様には何が似合うと思います?」

ルナマリアはもう限界のようだ。
イザークに助けを求める。

「いや、えーっと、これとかどうだ?」

そばにあった白いドレスを手に取る。

細かなレースをあしらい、下にかけて薄水色にグラデーションがかかっている。

「綺麗ですね・・・。」

アリアが近づいてドレスを手に取る。

「着てみたらどうですか?」

「では、ルナマリアさんもどうですか?」

アリアに手を取られ、ルナマリアは試着室へと連れていかれた。
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