第3章 お互いの距離
「何してんだろ、あの二人??」
「お子ちゃまね、あんたは。お互いに意識し始めてるのよ。定番でしょ??」
ふーんと興味なさげに返事をするが、ルナマリアはい今でもポップコーンを食べながら二人を鑑賞したいとばかりに目をキラキラしている。
まぁ、楽しそうならいいかと大好きなルナマリアを見つめるのであった。
「うわぁ・・・。ここ私たち入れます?」
イザークが予約したレストランは見るからに高級そうなところだった。
イザークはジャケットを持って行っており、アリアも上品なワンピースを着ていた。
しかし、シンはジーンズにブーツを履いている。
ルナマリアもミニスカートにロングブーツを履いていた。
どう見てもドレスコードがあるような店にはふさわしくない格好だ。
「そうか?じゃあ夜にするか?」
「いやいや、夜でも切る服ないですよ。」
「買いに行けばいいだろ?」
シンとルナマリアはお互いに目を合わせる。
1日だけ切る服を買えばいいなど、庶民にない考えだ。
「シン、オーブに住んでたんだろ?おすすめは?」
急に話が変わり慌てる。
「え、えっと・・。昔よく行ったのはニコニコバーガーですかね?」
ぷっとルナマリアが吹き出す。
「なにそのダサい名前〜」
「昔はよく行ったんだよー。オーブ以外ないから、プランと言ってから食べたことなくて。」
二人が盛り上がってる中、アリアがポツンと残されているのにイザークが気づいた。
「何か食べたいものはありますか?」
「え、ええ・・・。私外で食べたことあまりなくて・・・。」
「オーブは初めてですか?」
「小さい頃一度来たのですが、それっきりです。実は・・・。外に出たことがほとんどないのです・・・・」
海の街並みを眺めながら寂しそうに話す。
すこしずつ彼女に違和感を持ち始める。
なぜこんなにも浮世からかけ離れているのか。
なぜ姫であるというのにこれほど警備が手薄なのか。
何か事情があるのかもしれない。
ふとカガリの言葉を思い出した。
「イザーク様??」
「あ、いや・・・。」
「ショッピングモールでも行きましょうよ、なんでもありますし。」
盛り上がっていた二人はどうやら話を進めていたようだ。
「ああ、そうだな、」
自分でも驚くほど気の抜けた返事をしてしまった。