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胸の扉

第3章 お互いの距離


「ジュール隊長!!」
「昨日ぶりです!」

元気よくシンとルナマリアが滞在先に訪ねてきた。

「どうした、何かあったのか?」

「オーブの代表がシンパイされてますよ。隊長女の子の扱いに慣れてるか、慣れていないのかわからないって。それで、できない方にかけてきました。」

「は??」

「だから、一緒に出かけましょう!」

シンが嬉しそうに提案をする。

「遊びたいだけだろう?」

「そんなこと!!あ、あと護衛も兼ねてるんですよ?」

シンが声をひそめた。
彼女に配慮してだろうか。

「海!海行きましょう!!水着買って!」

どこが護衛も兼ねているのか、遊ぶ気満々じゃないか、ルマナリア。

「あのな、」

「ふふふ、冷たいお茶も用意いたしましたので、どうぞ中でお話しされては?わたしは離れにいますから。」

アリアがゆっくりとした動作で歩いてくる。

声が聞こえた方に目を向けた瞬間、シンとルナマリアは 硬直した。

それもそうだ、彼女を調べた時、これ以上ないほどひどい評判しか出てこなかったからだ。

しかし、今目の前にいる彼女はその評判からかけ離れている。

それほど大きい声でもないというのに、よく通る透明な声。
真っ白な絹糸のような滑らかな髪、肌は白く、まつ毛まで真っ白に染まり、より神秘的に見せている。

しかし、それ以上に2人は彼女の近寄りがたさを感じていた。
触れてはいけない、まるで神のように。
神秘であるため、謎のままでなければいけないような。

「どうした2人とも?」

どうやらイザークはあまりこの緊張感を感じないようだ。
シンとルナマリアは、イザークが資産家で一般庶民とは違う世界で育ったためだと納得させた。

「いや、びっくりして・・・。」

「なんだ、変だな。気にしなくても大丈夫です。今日の外出にこの2人も付いてくるそうです。」

イザークは彼女についてきていいか聞く前に、2人がくることを決めてしまった。

断ることはないだろうが、万が一断られた時気まづい時間を過ごすことに耐えられそうにないからだ。

「ええ、構いません。何時から出かけますか?」

「アリアが準備でき次第で大丈夫ですよ。」

「わかりました、では、急ぎますね。」

パタパタと奥へ急ぎ足で向かう。

「へー、隊長ってアンナカンジナンデスネ。」

「何が言いたいんだ?ルナマリア??」
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