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胸の扉

第3章 お互いの距離


「イザーク様!!」

彼女が小さな悲鳴をあげる。
イザークが彼女の上に跨ったからだ。

「しっ!窓際に誰かいます。じっとしてて、私に合わせてください」

小さく彼女の耳元で囁くと、こくりと頷いた。

心なしか彼女は硬直している。
申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「すみません・・・。」

イザークは自分のボタンをゆっくり外し上半身をあらわにする。

「失礼します」

彼女の首もとに顔を埋める。

「あっ・・・。」

小さく嬌声に似た悲鳴をあげる。
不覚にもその声に煽られているのを感じた。

外にいた人物が離れていくのを感んじた。
目的はわからないが命を狙っているわけではなそうだった。

すぐに彼女の上から離れ、急いで服を着る。

「すみません、いきなり」

「いいえ・・・。」

「大丈夫ですか?」

明らかに彼女は動揺している。

「ええ、少し驚いただけですから。気にしないでください。」

無理に笑っているのがわかる。

「男性が苦手ですか?」

すると彼女は沈黙した。

質問に答えず、
「おやすみなさい。」
そういうとイザークとは反対の方を向いて寝てしまった。


窓際に誰かいるのはわかっていた。
彼があのような態度をとったのもわかる。
彼の態度に不信感を持ったわけではない。

ただ、体が男性を拒絶しているのだ。
15歳の頃叔父、今のスカンジナビアの国王に迫られた。

関わったことはほとんどなく、彼に対しては無関心であった。
しかし、初めて会った日、いきなりベットに押し倒された。

叔父は自分の服を脱ぐと、私の服に手をかけた

ゆっくりといやらしい笑みを浮かべながら、胸元のリボンを解かれた。
全身に悪寒が走ったのをよく覚えている。
上半身を脱がされ下着だけとなる。
まだ発育途中の小さな膨らみを、愛おしそうに見つめる姿にゾッとした。
彼は自身の下半身のベルトに手をかけ、かちゃかちゃと音を立てて外した。
恐怖で動かない体を必死で動かす。
しかし、体はまるで催眠術にかかったように動かない。
少女を性的な対象として見つめるその姿はただただ恐怖と絶望でしかなかった。
彼が彼女に手を伸ばした時、反射的にその手を噛んだ。

「痛っ!!!!」

その怯んだ隙に、今まで動かなかったのが嘘のように体が動いた。
そして隙をついて彼から離れ、三階の窓から外に飛び降りたのだ。
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